「末期がん患者が在宅で過ごすときに家族にできることはあるの?」
「後悔のないようにできる限りのことをして支えたい」
このように考えている末期がん患者さんのご家族はいませんか。
在宅で過ごす末期がん患者さんにとって、ご家族は心強い存在です。
この記事では末期がん患者さんとご家族が在宅で穏やかな時間を過ごすため、必要なケアとご家族ができるサポートをご紹介します。
症状別に詳しくお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
末期がん患者の在宅における家族のサポート|末期がんの症状と家族ができるサポート
末期がん患者さんに現れやすい症状と、ご家族ができるケアを知っておくと安心につながります。
詳しい内容をみていきましょう。
痛みに対するケア
末期がんの症状で代表的な「痛み」。
在宅で穏やかな時間を過ごすためには、痛みのコントロールが欠かせません。
痛みは時間帯や動作により波があることが多いです。
「〇時頃」「トイレの後」など、痛みのパターンを見つけることが重要です。
患者さんが痛みをうまく表現できないときには、ご家族から見た患者さんの様子を教えてください。
また、患者さんの痛みに対して「痛む部分をさする」「背中をさする」「手を握る」などタッチングをすると痛みが和らいだり、リラックスできたりします。
せん妄に対するケア
せん妄とは「感情の変動」や「幻視や幻覚などの知覚障害」が見られる症状のことで、末期がん患者さんの70%以上に現れる一般的な症状です。
突然の性格変化や、見えないものが見える、寝ぼけているような状態が続くなど、さまざまな形で現れます。
大切な方の様子が変わってしまうことに、ご家族は戸惑いや不安を感じることでしょう。
せん妄が出現すると、残された時間が近づいていることを示すサインとなります。
このタイミングで入院してしまうと、再び自宅に戻れなくなることもあります。
ご家族にできることは、まず「いつもと様子が違う」と感じたら、すぐに在宅医療スタッフに伝えることです。
医師や看護師が環境調整や投薬の見直しを行い、ご自宅での生活を支えます。
下記のような変化に気づいたら、せん妄の可能性があります。
- 昼夜が逆転し、夜中に起き出す
- 今まで使っていた物の使い方がわからなくなる
- 人が変わってしまったような態度や言動が見られる
- ベッドから降りようとするなど、危険な行動が増える
医療スタッフと連携しながら、患者さんの安全を守り、穏やかな在宅生活を続けられるようサポートしていきましょう。
息苦しさに対するケア
がんの病状によっては、息苦しさが現れる患者さんもいます。
強い息苦しさを感じたり、動脈酸素飽和度の低下が見られるかたは、在宅酸素療法を導入する方もいます。
酸素療法を使用している患者さんでは、ご家族が「的確な酸素吸入の確認」や「息苦しさの症状の変化」を主治医に報告・相談すると、より適切な医療を提供することが可能です。
患者さんが息苦しさを訴えたときには、無理のない範囲で座ったり、クッションを使って楽な体勢を工夫したりしてみましょう。
食欲低下に対するケア
がんの進行にともない、吐き気や嘔吐などの症状から食欲が低下する患者さんがいます。
ご家族は「食べてほしい」と思うかもしれませんが、患者さんにとっては食べるのがつらいことがあります。
嘔吐をくり返す患者さんでは、ご家族も見ていてつらいものです。
吐き気止めを使用したタイミングや食事の量などを記録しておくと、医師や看護師が薬の調整を検討できます。
末期がんの患者さんの食事は「食べたいものを・食べたいときに・食べたいだけ」ということを心がけてみてください。
食べやすいものとしてはアイスクリームやヨーグルト、プリンなどがありますが、ご本人のお好きなものを食べてもらいましょう。
むくみ(浮腫)に対するケア
がん末期では、身体の機能が低下して体内の水分を処理しきれなくなり、手足・体幹・顔などにむくみが出ることがあります。
手や足がむくんでいるときには、下にクッションを置いて高さをだしたり、むくんでいる部分に保湿剤を塗りながら優しくマッサージしたりしてみましょう。
末期がん患者の在宅療養を支える家族に大切にしてほしいこと
末期がん患者さんを支えるご家族には「そばにいて何かしてあげたい」という想いを抱える方もいるでしょう。
ただ、ご家族の心身ともに健康であることが、患者さんを支えるための重要なポイントでもあります。
家族の体調管理
患者さんを想い懸命にケアを行うご家族で、疲労により身体を崩してしまう方も少なくありません。
ご家族は「できることを」「できるときに」することを心がけてみてください。
無理をせず、体調を崩してしまったときには在宅医療サービスに頼ることも大切です。
家族のメンタルケア
末期がん患者さんのご家族は、患者さんへの想いから懸命にケアをされています。
ただ、残された最期の時間がどの程度なのか分からないため、精神的な負担が積み重なってしまうことがあるのも事実です。
ご家族から「介護がつらい」「もう疲れた」という声を聞くこともあります。
在宅で末期がん患者さんをケアするご家族には「ずっと患者さんのそばにいないといけない」と思っている方もいますが、それが正解とは限りません。
患者さんとご家族が「生活をともにしている」ことが大切であり、ご家族の普段の生活で生じる音や会話は患者さんにも伝わっています。
患者さんの介護が精神的に辛くならないよう、在宅医療サービスを利用しながら患者さんをサポートしている方もいます。
ひとりで抱え込まず、医療者に相談してください。
まとめ・末期がん患者と家族の生活を支える在宅医療サービス
ご家族の存在は患者さんにとって何より心強い支えとなります。
ご家族が患者さんを無理なくサポートできるように、在宅医療サービスではケアの指導や24時間相談できる体制を整えています。
患者さんの症状やケアについて心配なことや不安なことは、いつでもご相談ください。
末期がん患者さんが利用できる「訪問診療」と「訪問看護」の内容について、サービス内容や利用方法を詳しくご紹介した記事もあります。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「訪問診療が穏やかな時間を守る!末期の悪性腫瘍患者さんが自宅で受ける医療と緩和ケア」
関連記事:「【穏やかな最期のために】末期の悪性腫瘍を抱えても訪問看護で実現する自宅療養 」
X投稿文
在宅で過ごす末期がん患者さんにご家族ができるサポートは?🤔
◇痛みのケア
◇せん妄のケア
◇食欲低下のケア
◆ご家族の体調管理とメンタルケア
患者さんとご家族が「生活をともにしている」ことが大切です。無理なくサポートできるように在宅医療スタッフが支えます🍀
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