「肺がんで自宅で過ごしているけど、最近呼吸が苦しいことがある」
「呼吸困難に対して効果的な在宅ケアを知りたい」

このように考えている肺がん患者さんやご家族は多いでしょう。

呼吸は命に直結する身体機能のひとつであり、呼吸困難になると抱える恐怖は大きくなるものです。
そばで見守るご家族にとって、具体的な対処法を知ることが重要です。

肺がんによる呼吸困難は、適切な在宅ケアで症状を和らげることができます。
この記事では、呼吸困難に対する在宅ケアの具体的な方法と、医療職によるサポート体制について説明します。
ご家族によるサポートの重要性についても紹介していますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

肺がん患者の呼吸困難症状と在宅ケアが必要な理由

肺がんによる呼吸困難は、患者さんの75〜87％の方に起こるといわれており、起こる理由には以下のものが挙げられます。

肺がんは進行段階によりⅠ期（ステージ1）からⅣ期（ステージ4）に分かれ、病状がⅣ期に進むにつれて呼吸困難を感じやすくなる傾向があります。

また、次のような症状が不安や恐怖を与え、精神的な要因から呼吸困難につながることもあるでしょう。

呼吸困難は、命の危機を感じやすい症状でもあります。そのため、患者さんのQOL（生活の質）を保つためにも、呼吸困難を少しでも和らげる「緩和ケア」が重要です。

肺がん患者の呼吸困難に効果的な在宅ケアの実践方法

肺がん患者さんの呼吸困難を和らげるための在宅ケアとして、以下の3つの方法を組み合わせた包括的なケアを行います。

1. 薬物療法

医療用モルヒネを適切に使用することで、呼吸困難を効果的に緩和できます。
適切な投与量であれば、生命予後に影響を与えることはありません。

モルヒネのほかにも次のようなお薬が使われることがあります。

患者さんの様子や症状から医師が薬の使用を検討し、呼吸困難を緩和させるための治療を行います。
不安がある場合は医師や看護師に相談してください。

2. 在宅酸素療法

呼吸困難による低酸素の状態が認められた場合や酸素投与で患者さんの呼吸が楽になる場合は、在宅酸素療法の導入が検討されます。

在宅酸素療法は酸素濃縮器や酸素ボンベという機械を使用し、自宅で酸素を吸入しながらの生活が可能です。
呼吸困難の緩和に有効な治療ですが、注意点もあります。

１.処方された流量を厳守する

酸素の吸入量は医師が患者さんの病状を踏まえて判断しています。
息苦しいからと勝手に吸入量を増やさないようにしましょう。
息苦しさが続くときには、医師や看護師にご相談ください。

２.火気厳禁

酸素濃縮器や酸素ボンベの使用中、周囲の2m範囲内にガスコンロやストーブなど燃えやすいものを近づけないようにしてください。
また、ご本人だけでなく周囲の方も禁煙が必要です。
在宅酸素療法は、医師の指示に従って、正しく使うことが大切です。
肺がん患者さんの在宅酸素療法の費用についても詳しく紹介している記事がありますので、ぜひ参考にしてみてください。

≫【知っておくと安心】肺がん患者の在宅酸素療法にかかる費用を詳しく解説

3. 非薬物療法による日常生活の工夫

肺がんの呼吸困難に対する薬を使わない緩和ケアでは、次のような方法があります。

薬を使わない緩和ケア	内容
生活環境の調整	・定期的な換気・季節に応じた室温と湿度の調整・酸素療法を考慮した生活動線の工夫
姿勢の工夫	・座位姿勢をとる・呼吸が楽な姿勢を見つける・クッションで姿勢を調整する
呼吸法の習得	・腹式呼吸・口すぼめ呼吸

上記のように、日常生活のなかで工夫できることや、呼吸困難を感じたときの姿勢・呼吸法を知っておくとよいでしょう。

肺がん患者の呼吸困難をやわらげる在宅ケアサポート体制

在宅での療養生活を支えるため、多職種が連携して24時間体制でサポートを提供します。
それぞれの専門職が担う役割と、緊急時の対応方法についてご説明します。

多職種連携

肺がん患者さんの呼吸困難を和らげるために、次のような在宅医療サービスが連携してサポートします。

それぞれの専門性を活かしながら連携し、患者さんの病状や希望に合わせて利用するサービスの提案や導入をサポートします。
気軽に相談してみてください。

家族によるサポートの重要性

肺がん患者さんにとって、そばに寄り添ってくれるご家族は心強い存在です。
とくに呼吸困難の症状は恐怖や不安に繋がりやすく、その不安がさらに呼吸困難を招くという悪循環を引き起こすこともあります。

そのため、患者さんの恐怖や不安を和らげることが大切です。
患者さんの呼吸困難の訴えに対して「どうしてあげたらいいか分からない」というご家族もいるでしょう。
患者さんの不安や想いを受け止めたり、そばに付き添ったりするだけでも十分なサポートになります。

ただ、ご家族のみで患者さんを支えるには負担が大きいこともあります。
在宅医療サービスは患者さんだけでなくご家族のサポートも大切にしています。些細なことでも、ご相談ください。

まとめ

肺がん患者さんが自宅で安心して過ごすためには、呼吸困難のケアが欠かせません。
在宅における呼吸困難の緩和ケアでは、医療チームが連携して患者さんとご家族をサポートします。

薬の使用だけでなく、楽な呼吸の体位や呼吸法など日常生活の中に取り入れられる方法も活用しながら、呼吸困難を和らげましょう。

在宅医療サービスでは、患者さんだけでなくご家族のサポートも大切にしています。
不安や心配なことはお気軽にご相談ください。

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X紹介文

肺がん患者さんの呼吸困難を和らげる在宅ケアは？🤔

◆薬物療法：医療用麻薬や不安を抑える薬

◆非薬物療法：体位の工夫や呼吸法の習得

◆在宅医療サービスによるサポート

呼吸困難が軽減し自宅で安心して過ごせるように、多職種で連携しながら、肺がん患者さんとご家族をサポートします🍀