「肺がんで在宅酸素療法の導入を勧められたけど、費用はどのくらいかかるの?」

このように思っている患者さんやご家族はいませんか。

在宅酸素療法は、肺がん患者さんが身体に酸素を取り込むことを助ける心強い治療法の一つですが、実際には在宅酸素療法にかかる費用の負担があるのも事実です。

この記事では肺がん患者さんの在宅酸素療法にかかる具体的な費用をお伝えします。
費用の負担を軽減する医療費助成制度や福祉制度についてもわかりやすく解説しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

肺がん患者の在宅酸素療法にかかる費用と種類

在宅酸素療法は医療保険が適用され、患者さんによって負担割合は異なりますが、1〜3割の医療費の負担で利用できます。

肺がん患者さんの在宅酸素療法に使用する機器には種類があるのをご存じでしょうか?
使用する機器によって費用が異なったり、電気代が追加でかかったりすることがあります。

在宅酸素療法の種類

在宅酸素療法に使用する医療機器には2つの種類があります。

酸素濃縮器

酸素濃縮器は設置型の機器で、空気に含まれる窒素から、酸素濃度が90%以上の空気を作り出す装置です。
使用するには電力が必要であるため、外出時や停電時に備えて酸素ボンベを置いておく必要があります。

酸素ボンベ

ボンベに酸素が入っており、持ち運びが可能です。
中身がなくなると酸素の吸入ができなくなってしまうため、残量が少なくなった時点で業者にボンベの交換を依頼する必要があります。

酸素濃縮器も酸素ボンベも、導入時やトラブル時には酸素業者が丁寧に対応します。
疑問点は相談しましょう。

在宅酸素療法の基本的な費用

在宅酸素療法の基本的な費用はどのくらいなのか気になるところではないでしょうか。

今回は、後期高齢者が酸素濃縮器を使用する場合で、携帯用の酸素ボンベと同調器(※)を使用するケースをご紹介します。

負担割合による費用の目安は次の表のとおりです。

負担割合費用の目安
一般所得者:1割7,680円
一定以上の所得のある方:2割15,360円
現役並みの所得のある方:3割23,040円

※同調器:息を吸ったときにのみ、酸素が身体に入ってくるように調整する機器

上記の費用には、酸素濃縮器や酸素ボンベのレンタル料だけでなく、機器の管理やメンテナンスにかかる費用も含まれています。
在宅酸素療法の費用は医療機関から請求されるため、詳しい費用や内訳を知りたいときにはかかりつけの医療機関に問い合わせてみてください。

在宅酸素療法に必要な電気代は月いくら?

在宅酸素療法で酸素濃縮器を使用する場合、電力が必要ですが、その使用にかかる電気代は保険適用にはなりません

電気代は、使用する酸素濃縮器の種類や地域による差はありますが、目安として1,500円〜5,000円ほどです。
酸素供給の最大量が大きい機器ほど電気代の負担が大きい傾向があります。

肺がん患者の在宅酸素療法における費用負担軽減の方法

肺がん患者さんが在宅酸素療法の費用を軽減するために、医療費の助成制度や福祉サービスに関する制度の利用が可能です。使用できる制度には以下の3つが挙げられます。

  • 高額療養費制度
  • 身体障害者手帳
  • 地域独自の在宅酸素に関する助成制度

それぞれの詳しい内容をみていきましょう。

高額療養費制度

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った費用がひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。

肺がんにおける在宅酸素療法も医療費に含まれるため、高額療養費制度が利用できます。

ただし、自己負担限度額は患者さんの年齢や所得により異なります。
高額療養費制度についての問い合わせ先はご自身の加入されている医療保険制度で変わるため、被保険者証で保健者の名前を確認してみてください。

身体障害者手帳

在宅酸素療法を受けることになった場合、状態に応じて身体障害者手帳の交付を受けることが可能です。

在宅酸素療法が必要な肺がん患者さんは身体障害者のなかの「呼吸機能障害」に当てはまり、1級・3級・4級の3段階の区分があります。
受けられるサービスは等級や各自治体により異なり、次のような助成を受けられます。

  • 年金や手当の給付
  • 公共料金の減免
  • 公共交通機関の割引 など

身体障害者手帳を交付してもらうためには申請手続きが必要です。
まずは主治医に相談のうえ診断書を作成してもらい、お住まいの市町村の障害福祉課や福祉事務所で手続きを行いましょう。

地域独自の在宅酸素に関する助成制度

お住まいの地域によっては、在宅酸素療法を行う患者さんに酸素濃縮器の使用にかかる電気料金の一部を助成する制度があります。

助成を受ける際には、一定の条件や必要な書類がありますので、利用できる制度があるかどうかを含め、制度の利用を検討する場合は、お住まいの市町村の保健・福祉担当窓口や保健所で相談してみましょう。

まとめ

在宅酸素療法は、肺がん患者さんにとって呼吸をサポートする大切な存在です。
ただ、酸素に関する医療機器を使用するため、費用が心配な方もいるかもしれません。

在宅酸素療法には医療保険が適用されるため、患者さんの年齢や所得に応じて1〜3割の負担で利用できます。
また、医療費の助成制度や身体障害者手帳による福祉サービス、地域独自の在宅酸素療法に関する助成制度など、利用できる公的支援制度があります。

経済的な面の不安を軽減し、在宅酸素療法とうまく付き合いながら、自分らしい生活を送りましょう。
在宅酸素療法に関して分からないことがあるときには、かかりつけの医師や看護師、ケアマネジャーなどに相談してみてください。

≫肺がんの呼吸困難に対する在宅ケアについては、こちらの記事をご覧ください。
「【安楽に過ごすために】肺がん患者の呼吸困難を緩和する在宅ケア」


X紹介文

肺がん患者さんの在宅酸素療法の気になる費用は?🤔

◆在宅酸素療法にかかる費用と目安

◆酸素濃縮器には電気代がかかる💰

◆経済面をサポートしてくれる医療費助成制度

在宅酸素療法における費用の実際を知っておくと、経済的な面でも安心して過ごせます🍀

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