在宅医療は従来の入院療養や外来診療に代わり、通院が困難な高齢者やより高度な医療を必要とする患者さんのニーズに合わせたきめ細やかな医療を提供する仕組みです。
その中でも利用者の方から聞かれる要望や改善すべき課題がいくつかあります。

現状の問題点を知ることは、患者さんにより適した医療を選び取ることにつながると考えられます。
このコラムでは現時点での在宅医療の課題点について解説します。

解説

在宅医療の費用

在宅医療の費用

株式会社キューライフが平成28年に報告した「在宅医療費に関する患者家族の意識調査」では在宅医療を受けている患者さんの家族500名にアンケートを実施しました。
「在宅医療費(訪問診療費、薬代を含む。通院治療にかかる医療費、介護費用は含まない。)をどれくらい負担に感じていますか」という問いに対しとても負担に感じていると答えたのは32.0%、少し負担に感じているは44.4%、あまり負担に感じていないは16.7%、全く負担に感じていないは7.0%でした。

この調査では在宅医療費の平均は月19,590円でした。在宅医療費を負担に感じる家庭はすくなくないものの、今後の治療方針については70.2%の方が「入院よりも在宅医療の方がよい」と答えています。
在宅医療と比較される入院療養では、食費込みの入院費用は月に10~20万円ほど(食費込み)と言われています。首都圏ではさらに高額な相場となります。

在宅医療の場合、医療費だけで言えば「外来診療より高額、入院療養より低額」となるのが一般的です。
しかし、身体能力の低下した患者さんが外来に通院する場合には介護タクシーなど医療費に含まれない様々な出費がかかります。

このことを踏まえると、在宅医療にはお金がかかるというよりは、ADLの低下した要介護の患者さんの診療にはある程度の金銭的負担が必要であると言えます。

この報告では7割の家族が今後も入院療養ではなく在宅医療を選ぶと答えています

医療体制の整備

一般的に在宅医療の対象となる患者さんは外来通院が出来る患者さんと比べて虚弱であることが多く急変のリスクも高いです。
入院療養ではなく在宅医療を選択する場合、患者さんや家族はこうした緊急事態に対して不安を抱える方が少なくありません。

そのような不安に対応すべく整備されたのが、在支診(在宅療養支援診療所)です。在支診では患者さんの病態変化に対し24時間365日休まず対応します。
在支診は一般診療所の13%程度14000施設程度となっており、さらなる拡充が求められます。

家族負担の軽減

急変に関するリスク管理の他にも在宅医療で家族にかかる負担は様々なものがあります。
訪問入浴やヘルパーなどの訪問サービスを利用する、デイサービス、ショートステイなどの通所サービスを利用するなど介護負担を減らすことが重要です。

また、在宅医療を始めても施設入所や入院療養などの選択肢も残されていることを確認すると良いでしょう。
地域の様々なサービスの情報は従来ですとケアマネさんを介することが多かったのが現状ですが、昨今ではインターネットから直接調べることも可能です。
在宅医療どっとコムではお住まいの地域を診療可能な医療機関を検索することができます。

在宅医療は住み慣れた家で最期まで療養できる利点がある一方で、急変リスクに関する介護者の心理的負担や介護そのものの負担など、改善が望まれる課題も残っています。
在宅医療を患者さん本人だけでなく家族の方にも最善の選択肢とするためには、地域のリソースを上手に利用することが重要と思われます。

家族負担の軽減




いかがでしたでしょうか?
今回は「在宅医療と今後の課題」について、ご説明させていただきました。お近くの在宅医療対応の医療機関はコチラから検索可能です。
https://zaitakuiryou.site/

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