末期がん患者さんが住み慣れた自宅で過ごすことは、ご本人とご家族にとって大切な時間になります。
しかし、「どんな準備が必要なのか」「どんな支援を受けられるのか」など、不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、在宅療養の期間や症状に応じたケアの方法、そして必要な支援についてわかりやすく説明します。
ぜひ最後まで読んで、在宅療養の準備と心構えの参考にしてください。
目次
末期がん患者の在宅療養期間はどのくらい?
末期がん患者さんが在宅で過ごす期間は病状や家庭環境、医療サポート体制により異なります。
一般的には 1〜3か月程度とされていますが、これはあくまでも目安で、退院当日から1年以上と幅が広いのが実際です。
医師の判断や病状の進行によって変わる期間
末期がんの進行は人によってさまざまです。
年齢や既往歴、がんの種類やステージ、再発の有無、治療内容などさまざまな要因が影響します。
医師に相談しながら、無理のない療養体制を整えましょう。
データでみる末期がん患者の平均的な在宅療養期間
最新の医療統計によると、予後が月単位(56日以上)の末期がん患者さんが在宅で治療・ケアを受けた場合の平均生存期間は平均65日間です。
緩和ケアや介護サポートが充実している場合にはさらに長い期間を安心して過ごせる可能性があります。
一方で、急な病状の変化や家庭の事情によって在宅療養を中断し、施設や病院での療養を選ぶケースもみられます。こうした選択肢は、個々の患者さんやご家族の希望、そして状況に応じて柔軟に決めることが大切です。
末期がん患者の在宅療養期間中の変化とケア
末期がん患者さんの在宅での過ごし方は、病状の進行に応じて大きく3つの段階に分かれます。
それぞれの段階で、ご本人が生活の質(QOL)を保ちながら自分らしい生活を送るために必要なケアと支援のポイントを紹介します。
日常生活が自立している期間
この時期は、食事や入浴、歩行、トイレなどの基本的な日常動作が、患者さん自身で行えることが多いです。
ただし、疲れやすさや痛みが出やすくなることがあるので無理をせず、次のような工夫をしてみましょう。
- 休息を促す:めまいや疲れを感じたら、早めに休みましょう。
- 活動の手助け:外出や家事などの際には、必要に応じて付き添いましょう。
- 気分転換を楽しむ:体調に無理のない範囲で小旅行に出かけたり、趣味を楽しむこともできるでしょう。ストレス解消にもなります。
徐々に食事が取れなくなる期間
病状の進行により食欲が低下し、食べる量が減ることがあります。
ご本人の希望に合わせ、次のように対応しましょう。
- 好きなものを好きなときに:
決まった時間にこだわらず、ご本人が食べたい時間に、ご本人が食べたいものを用意しましょう。 - 消化の良い食べ物を:
スープやゼリー、おかゆなどの消化の良い食品を少量ずつ準備します。 - 無理をしない:
むせたり気分が悪かったりするときは、無理をせず見守りましょう。
ご本人のペースを尊重します。
排泄の変化が見られ、寝ている時間が増える期間
末期がん患者さんは、亡くなるおよそ2週間前になると移動が難しくなると言われています。
この時期は、次のように対応しましょう。
- 排泄の変化:
尿や便の量が減ったり、トイレの失敗が増えたりすることがあります。
ポータブルトイレやおむつは、必要に応じて準備します。 - 寝たきりのケア:
うとうとと眠る時間が増え、寝たきりに近い状態になって過ごすことがあります。
体重がかかる部位に床ずれができやすくなるので、注意が必要です。
介護用ベットを活用すると、ご家族の負担を軽減できるうえ、ご本人も楽に過ごせるでしょう。 - 精神的なサポート:
末期がん患者さんは、せん妄や混乱を生じることがあります。
ご本人のお話を否定せず、穏やかに話しかけることが大切です。
末期がん患者さんが安心できるよう、寄り添いましょう。
ご家族ができるケアと必要なサポートについてはこちらの記事もご覧ください。
≫「【在宅で穏やかな日々を過ごすために】末期がん患者にできる家族のサポート」
末期がん患者の在宅療養期間を支えるための準備
末期がん患者さんが在宅での療養生活をスムーズに進めるためには、十分な準備が欠かせません。
ここでは医療や生活のサポート、そして家族側の準備について説明します。
緩和ケアを継続するために
在宅療養を始めるときは、医師や看護師、薬剤師、介護スタッフと連携し、十分な緩和ケアの計画を立てます。
また、緊急時には医師や看護師が24時間駆けつけることが可能か、確認しておきましょう。
約20%の末期がん患者は、急激に病状が悪化すると言われています。
急に痛みや呼吸困難などの症状が出た場合の対応方法を確認し、緊急の連絡先(携帯電話番号など)を見やすい場所に掲示しておきましょう。
安全な在宅療養を送るための環境づくり
患者さんが自宅での移動が楽になるよう、事前にバリアフリー環境を整えることが大切です。介護保険を申請して手すりを設置し、段差をなくしておきましょう。
また、末期がん患者さんは急に病状が進行して、短期間で介護用ベッドや車椅子、体圧分散能力の高いマットレスが必要になることがあります。
早めに医師に相談し、福祉用具のレンタル手続きを進めておくことをおすすめします。
家族が無理なく支えるために
ほとんどのご家族は、はじめて末期がん患者さんを介護する立場になります。
ご家族が安心して患者さんを支えられるよう、事前に必要な知識を習得しましょう。
薬の管理や医療機器の使い方、どんな症状の変化があるかを事前に知ることで、心の準備にもなります。
在宅療養にあたって、ご家族も不安やストレスを感じやすくなるかもしれません。
ご家族同士で十分に話し合い、みんなで支え合う体制づくりを行います。
お仕事をしている方は、急な休暇が必要になることがあります。
早めに仕事を調整し、介護休暇の申請をすることをおすすめします。
まとめ|安心して在宅で過ごすために
末期がん患者さんがご自宅で穏やかに過ごすために、緩和ケアを継続し、安心できる生活環境を整えることが大切です。
そのためには、医療や介護のサービスを上手に活用しましょう。
不安なときや困ったときは一人で抱え込まず、すぐに相談すると安心につながります。
ご家族が無理をせず、末期がん患者さんと支え合いながら日々を過ごせると、ご本人も心穏やかに在宅生活を送ることができるでしょう。
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🏠末期がん患者さんが在宅で過ごす期間⏰️
✔️在宅での療養期間は、どのくらい?
✔️どんな症状変化が起こるのか?
✔️在宅生活を支えるための準備は?
在宅療養の準備は早めがベスト✨ご本人とご家族が受けられるサポート体制について、わかりやすく説明します🍀
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