誰しも平等に年をとります。
年を取れば、若いころに出来ていたことが段々難しくなる、出来なくなるのは当然のことです。
しかしそれが記憶や知性に関わるものだとしたら…特に大切なご家族の事となると、そのショックは大きいものです。
このコラムでは、高齢者の記憶障害や性格変化の原因となる代表的な病気、認知症について解説します。
昨今では様々な体制が整えられており、在宅医療でも認知症の診療が可能です。
目次
認知症について
認知症とは
認知症は脳の病気により、認知機能が低下し生活全般に支障を来す状態です。
認知症の中にはアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症(ピック病を含む)、レビー小体型認知症などがあり、それぞれ予後や治療法が異なります。
どんな症状が現れるの?
認知症の症状には、記憶障害や見当識障害、理解力・判断力の低下などの中核症状と、その結果として現れる行動・心理症状(BPSD)があります。
具体的には、数分~数時間前のことを忘れてしまう、曜日・時間の感覚がなくなる、迷子になりやすくなる、出来事の前後関係が解らなくなる、運転のミスが増える、家事や仕事の段取りができなくなる、などの症状が見られます。
いらいらする、物を盗まれたと言うようになる、性格が変わってしまう、本を読んでも理解できなくなる場合もあります。
放っておくとどうなる
認知症は放置すると進行します。軽度の物忘れから次第に他の認知機能も低下し生活が破綻する恐れがあります。
最終的には身体機能や嚥下機能※も低下し、食事が摂れなくなったり寝たきりになったりしてしまいます。
現在、認知症の症状を劇的に改善する治療法はありませんが、進行を優位に遅らせる治療があります。
治療が可能かどうかは認知症の種類によります。
そのため、認知症を早期に発見し適切な治療に結びつけることが非常に重要です。
※嚥下機能:嚥下 えんげ とは、食べ物を口の中で噛み、飲み込みやすい大きさに変えて口から喉、食道、胃へ飲み送り込むことです。
在宅医療で認知症を疑った場合の対処法
訪問診療医に相談する
進行した認知症の場合は長谷川式認知症スケール(HDS―R)等の簡便な検査でスクリーニングできます。
まずは訪問診療医に相談してみましょう。
しかし進行していない早期の認知症では、HDS-Rでスクリーニングされないことがあります。
家族から見て明らかに認知症を疑う症状があるのにHDS-Rがあまり低下していない場合には、
専門機関で精密検査を受けることをお勧めします。
各都道府県には、認知症の対する鑑別診断※や専門医への相談等の役割を担う、認知症疾患医療センターが整備されています。
受診する場合には、訪問診療医と相談し紹介状を書いてもらいましょう。
※症状を引き起こしている原因を正確に見極めるための診断
ご本人が受診を拒否してしまう場合
自覚が乏しいこと、物取られ妄想などにより孤立しやすいことも認知症の特徴です。
家族が認知症を心配しても、ご本人が受診を拒否することはめずらしくありません。
難しい場合もありますが、まずは説得をしてみましょう。
伝えるべきポイントは以下の通りです。
- あなたは大切な家族であり、心から心配している。
- 認知症だとしたら、早く診断した方がその後の予後も良い。
- 認知症だとしても、家族には受け止める覚悟がある。
- 「家族のために」「子供、孫のために」受診をして欲しい。
- 進行してしまう前に話し合うこと、準備したいことがある。
- 診断されることで、介護保険が使える可能性がある。適応があるのに使わないのは損。
また、家族が複数いらっしゃる場合は患者さんの味方、愚痴聞きに徹する方を残してあげるのも良いでしょう。
複数の立場から説得することが重要です。
それでも受診を嫌がる場合には、専門職が患者やその家族を訪問し、観察評価をした上で家族支援などを行う「認知症初期集中支援チーム」が各市町村に設置されています。
在宅医療でも認知症の治療を受けることができます。認知症でお困りの場合は地域包括センターに相談してみましょう。
いかがでしたでしょうか?
今回は「認知症と在宅医療」について、ご説明させていただきました。お近くの在宅医療対応の医療機関はコチラから検索可能です。
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