「24時間休む間もなく介護を続けていて、自分の体調にも不安がある…」
「実家の法要で数日家を空けなければならない…」
「医療処置が必要なため、ショートステイが利用できない。」

難病の利用者さんが自宅で生活を続けるためには、ご家族のサポートが欠かせません。
しかし、ご家族にも急な用事や休息が必要なときがあります。

そのようなときには、「レスパイト入院」を選択肢の1つとして検討してみましょう
医療機関での短期入院により、ご家族は安心して休息や用事に対応できます。

今回は、レスパイト入院制度の概要や利用方法、費用などについて解説します。
ぜひ最後まで読んで、療養生活の参考にしてください。

レスパイト入院とは

レスパイト(Respite)とは「一時的な休息」や「ひと休み」を意味します。
レスパイト入院は、医療的ケアが必要な利用者さんが一時的に入院できる制度です。ご家族の休養や用事に対応できます。

対象となる方

医療処置が日常的に必要な方が、レスパイト入院の対象となります。

  • 神経難病の方人工呼吸器を使用している方
  • 気管切開をされている方
  • 経管栄養や点滴が必要な方
  • 自力歩行や排泄が困難な患者
  • そのほか、医療的な管理(褥瘡処置・痰の吸引・在宅酸素療法・がんの疼痛管理など)が必要な方

なお、介護保険制度での短期入所(ショートステイ)などが利用可能な場合は、そちらが優先となります

入院可能期間

医療機関ごとに受入期間や回数が定められています。

  • 1回の入院:2週間程度 
  • 年間利用回数:2〜4回

ご家族の予定に合わせて計画的に利用できるよう、早めの相談をお勧めします。
なお、自治体や医療機関によって、対象者や利用条件が異なる場合があります。利用の際は、必ず確認しましょう。

在宅で人工呼吸器を使用されている方は、こちらの記事もご覧ください。

【人工呼吸器を使用している状態でも穏やかな生活を】訪問看護のサポート内容とケア – 在宅医療どっとコム

難病の利用者さんがレスパイト入院を利用するメリット

レスパイト入院は、難病の利用者さんとご家族の双方にとって大きな支えとなります。
ここでは、主なメリットについて詳しく紹介します。

  • メリット①:外出や用事への対応
    仕事や用事にも安心して対応できます。
    ・冠婚葬祭への出席
    ・ご自身の通院や健康診断
    ・諸手続きそのほか
    ・数日の外出が必要な場合
  • メリット②:介護からの一時的な休息
    継続的な介護による心身の疲れを、しっかりと癒すことができます。
    ・まとまった休養時間の確保
    ・ご家族自身の体調管理
    ・リフレッシュの時間
  • メリット③:安心できる医療ケア
    医療スタッフが24時間体制で適切なケアを提供します。
    ・医療スタッフによる専門的な管理
    ・症状の変化への迅速な対応
    ・日常的な医療処置の継続
  • メリット④:在宅療養の継続支援
    定期的な利用で、長期的な在宅療養の継続をサポートします。
    ・介護の負担軽減
    ・ご家族の生活リズムの確保
    ・在宅療養の安定的な継続

レスパイト入院を上手く利用することで、利用者さんとご家族の生活の質が向上し、心身の健康を守る手助けとなります。

難病のレスパイト入院の利用までの流れ

医療機関での受け入れ態勢や空き状況の確認が必要なため、計画的な準備が大切です。
以下に、入院までの基本的な流れを示します。

  • ①相談・情報収集
    まずはかかりつけ医やソーシャルワーカー、訪問看護ステーションに相談を。
    対応可能な医療機関や、必要な手続きについて情報を得られます。
  • ②受入医療機関の確認
    受け入れ可能な医療処置の範囲 予約可能な期間 費用の目安  など
  • ③必要書類の準備
    主な必要書類:入院申込書/診療情報提供書/医療保険証/難病医療受給者証(お持ちの方)
  • ④面談・判定
    一部の医療機関ではご家族との面談や入院判定会議を実施し、受け入れの可否が決定されます。
  • ⑤入院前の確認
    ・持ち物リストの確認
    ・普段使用している医療材料の準備
    ・医療機関のスケジュールの確認

スムーズな利用のために、予定の1~2ヶ月前には相談を始めることをお勧めします。

難病のレスパイト入院の費用

レスパイト入院の費用負担を軽減できる制度があります。上手に活用して経済的な負担を抑えましょう。

基本的な費用の仕組み

医療保険を中心に、複数の負担軽減制度が利用できます。

  • 医療保険が適用される(1〜3割の自己負担) 
  • 指定難病医療受給証をお持ちの方は負担が軽減 
  • 高額療養費制度も利用可能 
  • 自治体独自の医療費助成制度がある場合も

自己負担となる費用 

入院基本料以外に、以下の費用が必要です。

  • 差額ベッド代(個室を利用する場合) 
  • 食事代 ・おむつ代 
  • 医療機関までの交通費

実際の負担額は、お住まいの地域や利用する医療機関によって異なります。
事前に医療機関やソーシャルワーカーに確認しましょう。

難病のレスパイト入院利用時の確認ポイント

安心して利用するために、以下の3点を事前に確認しましょう。

  • 予約について
    計画的な利用が必要です。
    利用の2ヶ月前から申し込み可能(医療機関により異なる) 
    期間の延長は原則不可
  • 自宅での療養や訪問医療と異なる場合がある
    医療機関のルールに沿った生活となります
    施設のタイムスケジュールでの生活
    他科受診や処方箋の発行は不可のことも 
    必要な医療材料は持参が基本
  • 体調変化時の対応
    治療が必要となった場合の対応を把握しておきましょう。 
    一般入院への切り替えの可能性 
    専門医療機関への転院の可能性 
    かかりつけ医との連携体制

これらのポイントを事前に確認し、ご家族で共有しておくことで、安心してレスパイト入院を利用できます。

まとめ:レスパイト入院は難病の利用者さんとご家族を助ける心強い制度

レスパイト入院は、在宅療養を続ける難病の利用者さんとご家族双方の生活をサポートする制度です。
定期的な利用を組み合わせることでより安定した在宅療養を続けることができます。

ご家族の休息や急な用事が必要なときは一人で抱え込まず、まずはかかりつけ医やソーシャルワーカーに相談してみてください。
専門職と相談しながら、ご家族の状況に合った利用計画を立てることができます。

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