多系統萎縮症は進行性の疾患であるため、症状の変化に応じた適切なケアが求められます。
本記事では多系統萎縮症の進行状況に応じた訪問看護のサービス内容や、家族が知っておきたい観察項目・サポート制度を紹介します。
日常生活の質を高め、ご家族の負担を軽減するためのヒントが満載です。ぜひ最後まで読んで、在宅療養をより快適に続けるための参考にしてください。
目次
多系統萎縮症とは?訪問看護の基礎知識
多系統萎縮症は移動や食事などの日常生活に直結する動きに支障をきたすので、訪問看護の利用など、適切な対応が求められます。
多系統萎縮症の概要と主な症状
多系統萎縮症は脳の運動機能や自律神経機能に影響を及ぼし、利用者さんは歩行困難や排尿障害、発話の困難さなどを経験します。特に、進行が速いことが特徴で、症状が悪化するにつれて日常生活が困難になります。そのため、早期の症状管理と適切な看護計画が必要です。
多系統萎縮症において訪問看護が必要な理由
多系統萎縮症は、症状の進行とともに自力で日常生活を維持することが難しくなります。
例えば、起立性低血圧の出現による転倒の恐れや発話の難しさによるコミュニケーションの負担増加があり、対策をしなければ、これらのリスクや負担は症状の進行とともに高まります。
そこで、訪問看護による症状の管理やご家族への指導を含めた日常生活の支援、さらにリハビリテーションなど、個別のケアが有効な対策になります。
このように訪問看護は、住み慣れた自宅での生活をできる限り安全かつ快適に過ごすための支援として、重要な役割を果たします。
多系統萎縮症に適した訪問看護サービスとは?
多系統萎縮症では、症状の進行に合わせた医療とケアが大切です。
具体的には、症状の管理や緩和ケアが提供されます。また、利用者さんやご家族が抱える不安や疑問に対して適切な助言を行い、安心して自宅での療養が続けられるよう支援します。
訪問看護で提供される具体的なサービス内容
訪問看護の具体的なサービス内容は、以下のとおりです。
- ・健康状態の観察
- →血圧や体温、呼吸の状態などの定期的なチェック
- ・服薬管理
- →薬を適切に服用できるようサポート、副作用の確認
- 栄養指導
- →状態に応じた食事プランの提案
- リハビリテーションの指導
- →残存機能を維持・向上させるための運動やストレッチ など
訪問リハビリとの違いと併用のメリット
訪問看護と訪問リハビリは、異なる役割を持ちつつも、連携して患者さんをサポートします。
・訪問看護:主に看護師が担当し、リハビリも提供しますが、医療的なケアや健康管理が中心です。
・訪問リハビリ:理学療法士や作業療法士などが運動機能の改善や維持を目的としたリハビリを行います。
これらを併用することで、医療的ケアとリハビリの両面からサポートを受けられます。症状の進行を少しでも遅らせたり、生活の質を維持・向上させたりすることが可能で、利用者さんの自立支援に大いに役立ちます。
訪問看護を受けるための条件と導入手続きの流れ
訪問看護を受けるには医師の指示が必要で、その後に訪問看護ステーションと契約を結びます。
訪問看護の導入手続きでは医師が作成した訪問看護指示書に基づいて、看護師などがケアを開始します。
多系統萎縮症の進行状況に応じたケアと計画の見直し
多系統萎縮症の症状は、一般的には時間とともに悪化します。そのため、進行状況に応じて、看護計画を適宜見直すことが重要です。
日常生活でのケアとそのポイント
多系統萎縮症による運動機能の低下や自律神経障害などの症状に対処するために、以下のような日常生活でのケアが必要です。
- 定期的な体位交換
- 転倒予防のための住環境の整備
- 嚥下障害に対応した食事の工夫 など
ご家族も看護師と協力してこれらのケアに参加することで、徐々にケアに慣れ、日々の観察を通じて異常を早期に発見できるようになります。
看護師やご家族による症状観察と早期発見の重要性
多系統萎縮症は症状が急激に悪化することがあるため、看護師やご家族による定期的な観察が欠かせません。特に、呼吸障害や嚥下困難、血圧の異常などの兆候は、早期に対処する必要があります。
さらに、必要に応じて医師と連携して治療やケアの見直しを行うことで、生活の質の維持につながります。
多系統萎縮症の利用者さんを支えるご家族が知っておきたいこと
症状が進行するにつれて、ご家族のサポートの重要性が増します。
自宅療養を続けていくうえで、日々ご家族がどのような点に注意し、どのような支援を受けられるかを理解しておきましょう。
ご家族が理解したい観察項目とその対処法
以下の症状は病気の進行を示すサインになるので、対処法と合わせておさえておきましょう。
- ・呼吸困難
- →すぐに看護師に連絡。酸素療法が必要か確認
- ・嚥下障害
- →食事の形状の調整など
- ・筋力低下
- →リハビリ専門職に報告。自助具やコミュニケーションツールの検討 など
ご家族の負担を軽減するためのサポート制度
ご家族の負担を軽減するサポートや制度があります。
例えば、レスパイトケア(ご家族が休息をとるためのサポート)で短期入所や訪問型在宅レスパイト、入院を利用すれば、ご家族が一時的に看護や介護から離れることができます。
ご家族の疲弊を防ぐことは、長期間にわたって安定したケアを利用者さんに提供することにつながります。
一度、利用可能な制度についてお住まいの都道府県の難病相談支援センターなどに尋ねてみると良いでしょう。
多系統萎縮症と訪問看護に関するよくある質問
多系統萎縮症に関する訪問看護の選び方のポイントは?
経験豊富な看護師が在籍しているかが重要です。多系統萎縮症では複数の症状が同時に現れるため、専門的な知識が必要です。
また、リハビリを併用できる訪問看護ステーションを選ぶことをおすすめします。
適用されるのは医療保険?介護保険?
多系統萎縮症は厚生労働大臣が定める疾病に該当するため、訪問看護には医療保険が適用されます。また、通常の訪問看護とは異なり、週4日以上、かつ1日2〜3回の訪問看護の利用が可能です。
まとめ:ご家族の息抜きが療養生活を続けていくための秘訣
24時間一緒に過ごすご家族は、どうしても疲弊しやすくなります。
訪問看護のサポートを受けて対応力を向上させるとともに、頑張りすぎないよう息抜きもしっかり行うようにしましょう。
訪問看護を効果的に活用し、患者さんと家族が安心して在宅療養を続けられるよう、医療専門職と協力しながら進めていきましょう。
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