「訪問看護を利用したいけど、どんなサービスが受けられるの?」
「訪問看護ってどこまでしてくれるの?買い物に付き添ってもらえたりする?」
在宅療養中の方やご家族なら、このような疑問をお持ちかもしれません。

看護師がご自宅に訪問しケアをする訪問看護。
病気や障害をもつ方の、住み慣れた地域での「その人らしい暮らし」に寄り添いサポートします。

今回は、訪問看護でどんなサービスを受けられるのか、逆にできないことについて、現役訪問看護師が事例を交えてわかりやすく解説します。

これから訪問看護の利用を検討している方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

訪問看護サービスとは

訪問看護の目的は、大きく分けて以下の2点です。

  • 病気がある方が自宅で安心して生活できるよう、医療的な処置や介護ケア、相談を行う
    病気があっても、住み慣れた地域や自宅で「その人らしく生きる」ことに寄り添い、支援します。点滴などの医療的な処置だけでなく、入浴介助などの介護ケアも行います。

これまで大切にしてこられた習慣やできることを活かしながら、自宅で安心して療養できるよう一緒に考えていきます。

  • 主治医の訪問看護指示書に基づき、利用者さんが安心して生活していくための看護ケアを組み立てる
    訪問看護を利用するには、主治医による指示が必要です。指示をもとに訪問の頻度や内容の計画を立て、サービスが開始されます。

訪問看護でできること10選

それでは、訪問看護でよく行われるケアを10個紹介します。

1 健康状態の観察

定期的に健康状態を観察し、血圧などのバイタルサインや症状の変化をチェックします。体調の変化に早期に気づき、医療的判断により適切な対応を取ることができます。

事例:下痢が続き、楽しみにしていた妻の見舞いを控え、引きこもりがちになった利用者さん。食欲不振で体重も減少傾向でした。訪問看護師が薬の副作用による下痢の可能性を主治医に報告し、処方を変更してもらったことで下痢が改善。再び外出できるようになりました。

2 服薬管理

医師の指示通りに薬を飲めているかや残薬を確認し、服用している薬の管理を行います。薬の効果や副作用の確認、お薬カレンダーやボックスへを使った配薬によるのみ忘れ防止の工夫など、薬に関する様々な支援を提供します。薬の形状や種類を変更するために薬剤師と連携することもあります。

事例:おひとり暮らしの認知症の方が、薬の飲み忘れや吸入のし忘れで喘息発作を繰り返していました。訪問看護師が週3回訪問し、服薬カレンダーに2〜3日分ずつ配薬。吸入も促すことで、発作は起きなくなり、認知症の症状も落ち着きました。

3 相談・アドバイス

利用者さんやご家族の相談に乗り、療養生活のアドバイスを提供します。病気や治療への不安や疑問にも丁寧に対応し、安心して在宅療養を続けられるようサポートします。

4 医療的ケアと医療機器の管理

たんの吸引、褥瘡(床ずれ)ケア、点滴、ストーマケアなど、さまざまな医療的ケアを提供します。また、在宅酸素療法や人工呼吸器などの医療機器の管理も行います。

訪問看護ステーションによっては、褥瘡やストーマケアについての専門資格をもった看護師もいます。

事例:ストーマを装着中の認知症の方に、週2回ストーマケアで訪問。月に1回は専門知識をもつ看護師が管理しました。皮膚トラブルにも早期に対応し、漏れを防ぎました。病状は安定しており受診の間隔も開き、3ヵ月に1回となりました。

5 療養生活の支援

入浴やシャワー介助による清潔保持、オムツ交換などの排泄ケアといった、日常生活の支援も行います。利用者さんの状態に合わせて、安全で快適な療養生活が送れるよう、きめ細やかなケアを提供します。

事例:在宅酸素療養中で、少し動くと呼吸が苦しくなる方。状態に応じて入浴、シャワー浴、清拭のいずれの方法にするか判断し、介助しました。呼吸が楽になる体位の工夫も行いました。シャワーが辛くなかなか髪が洗えない時には、ベッド上での洗髪を行い、さっぱりしたと喜んでいただけました。

6 排便コントロール 

排便状況を観察し、必要に応じて下剤の調整や浣腸などを行います。便秘や下痢などの問題にも適切に対応し、快適な排便コントロールを目指します。

7 ターミナルケア・緩和ケア

終末期の利用者さんとご家族に寄り添い、尊厳ある看取りケアを提供します。痛みや苦痛の緩和ケ、精神的ケアなど、最期まで安心して過ごせるようサポートします。

8 リハビリ

訪問看護師やリハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が、利用者さんの状態に合わせたリハビリを提供します。ご自宅での普段の生活の中で、日常生活動作(ADL)の維持・向上を支援します。

9 24時間対応

多くの訪問看護ステーションが、24時間365日の対応体制を整備しています。緊急時や夜間でも、利用者さんやご家族からの連絡や相談に応じ、必要時は緊急に訪問しケアを提供します。

いつでも相談できる状況は、在宅療養にとって大きな安心となります。

10 多職種との連携

主治医やケアマネージャーと密接に連携し、情報共有を行います。他の関係機関とも連絡を取り合い、最適なケアが受けられるよう調整します。

訪問看護でできないこと

一方で、訪問看護では対応できないこともあります。
訪問看護でできない主な2点について解説します。

病気の診断や薬の処方(医師の役割)

訪問看護師は医師の指示のもと健康管理を行いますが、病気の診断や薬の処方は医師だけが行えます。症状や体調の変化を観察し、必要に応じて医師に報告・相談をします。

訪問看護師は、あくまでも医師の指示のもと看護の専門性を発揮してケアを提供するのです。

買い物や料理などの生活支援(訪問介護)

買い物や料理、掃除などの家事援助は、原則として訪問看護の対象外です。これらの生活支援は、主に訪問介護(ホームヘルプサービス)で対応します。

以上のように、訪問看護は医療的なケアに特化したサービスであり、病気の診断や薬の処方、生活支援などは、他の専門職やサービスと連携しながら対応していくことが重要です。

番外編:買い物動向は可能⁈

基本的に、公的保険(介護保険や医療保険)を利用した訪問看護では買い物同行が認められないことが多いです。ただし、医師の指示があり、リハビリとして自立支援を目的とする場合などは、同行できるケースもあります。

介護保険利用の場合は、ケアマネージャーによるケアプランに組み込まれている必要もあります。

まとめ

今回は、訪問看護でできることと、できないことについて解説しました。

訪問看護は、住み慣れた自宅で、利用者さん主体の満足のいく療養生活を送れるよう、医療面からサポートします。

「訪問看護を利用するか迷っている」という方は、担当ケアマネージャーや主治医、お住まいの地域包括支援センターへ一度相談してみてください。

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