「悪性腫瘍とがんは何が違うの?」
「末期がんでも自宅で過ごせるの?」
このように思っている方はいませんか。
2024年現在、2人に1人はがんになると言われています。自分やご家族が末期の悪性腫瘍やがんと診断された場合、今後の生活に不安を感じる方もいるでしょう。
末期の悪性腫瘍やがんと診断された場合、医療を受けるために入院するほか、自宅で医療サービスを受けながら生活する選択肢もあります。
この記事では、末期の悪性腫瘍やがんの症状と治療、自宅で過ごすときに利用できる医療サービスについて詳しくお伝えします。
目次
末期の悪性腫瘍とがん末期の違い:言葉の定義
まず重要なのは、「末期の悪性腫瘍」と「がん末期」が実質的に同じ意味であることです。どちらも、がんが進行し、現代の医学では根治が難しいと判断された状態を指します。
ここでは、「悪性腫瘍」や「がん」の定義と、「末期」の症状と治療についてお伝えします。
悪性腫瘍とがん
悪性腫瘍とがんはほぼ同じ意味で扱われ、悪性腫瘍も含める病気の全体を指して「がん」という言葉が使われます。
「悪性腫瘍」と「がん」の定義は以下のとおりです。
悪性腫瘍 | 腫瘍が無秩序に増えながら周囲にしみ込むように広がったり、血管などを介して体のさまざまなところに新しいかたまりを作ったりすると悪性の腫瘍とされます。 |
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がん | 悪性腫瘍と同じ意味で扱われますが、「がん」という言葉を使わないがんもあります。・脳腫瘍・白血病や悪性リンパ腫などの血液の悪性腫瘍・骨肉腫や軟骨肉腫などの肉腫上記の病気は「がん」とはつきませんが悪性腫瘍です。 |
※ここからは悪性腫瘍も含め「がん」と表記します。
末期の状態と症状
がんは病気の進行状態で0~Ⅳ期の5段階に分類されます。
Ⅳ期(ステージ4)が最も進行した状態であり、がんの末期だと判断されます。
Ⅳ期はがんが体のなかのさまざまなところにでき(=転移)、手術や化学療法では病気の進行を止めることが難しい状態です。
がん末期の症状はがんの種類や患者さんの体の状態によりさまざまですが、代表的なものは以下の症状です。
【全身の症状】
倦怠感 | がんにエネルギーを摂られ、体力が低下します。より終末期が近くなると、身の置き所のないしんどさが出てきます。 |
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食欲不振 | 食事量の低下から筋肉量も減少し、急激に体力が低下します。 |
むくみ | がんがあると血管やリンパ管から水分がしみでやすくなり、むくみが出てきます。 |
【局所の症状】
痛み | がんが内臓や神経を圧迫すると痛みが出ることがあり、がん患者さんの8割で痛みを生じると言われています。 |
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呼吸困難 | がんが進行して呼吸機能に影響を及ぼすと、息苦しさを感じることがあります。 |
がん末期の治療
がんの治療は、種類や進行段階によりさまざまです。
がん末期の場合、治療の効果が期待できないことや、患者さんの体力的に厳しいことから、手術や化学療法などの積極的な治療は進められないことがあります。
その場合、緩和ケアを中心とした対応に移行します。痛みや倦怠感などの苦痛を和らげることを目標とします。
たとえば、以下のような対応です。
- 呼吸困難:酸素療法
- 痛み:医療用麻薬や鎮痛剤の使用
- 不眠や不安:睡眠薬や安定剤の使用
身体だけでなく、心のケアも重要です。
患者さんやご家族の気持ちに寄り添い、サポートします。
在宅医療におけるがん末期
がん末期の状態でも、在宅医療サービスを利用しながら自宅で過ごす選択肢があります。
具体的な医療サービスや、がん末期の経過と治療について事例を挙げてお伝えします。
利用できる医療サービス
がん末期の患者さんが利用できる在宅医療サービスの一例です。
・訪問診療:医師による診察
・訪問看護:看護師による状態観察、必要なケア
・訪問介護:日常生活のサポート
・訪問薬剤指導:薬剤師による服薬管理、指導
患者さんの状態や希望に合わせてさまざまな医療サービスを組み合わせ、専門職のサポートを受けながら自宅で過ごすことができます。
がん末期の患者さんの具体的な例
【事例:すい臓がんのKさん】
がん末期と診断され「治療ができないのであれば住み慣れた場所で最期を迎えたい」と自宅に退院されました。
全身の痛みや倦怠感、吐き気が強く、在宅医療サービスが導入されました。
治療やケアの実際:
- ・24時間の皮下点滴注射による鎮痛薬の投与
- ・吐き気や食欲不振を軽減するための薬剤投与
- ・訪問看護による症状の観察や点滴の管理、精神面へのサポートなど
- ・ヘルパーによる清潔や排泄など日常生活のサポート
精神的なケア:
がん末期の在宅医療では、体の痛みや症状への対応だけでなく、心のケアも大切です。患者さんは不安や不眠に悩むことも多く、ご家族も大きな心の負担を抱えています。
さまざまな専門家がチームとなり、患者さんとご家族の心に寄り添い、できる限り穏やかな日々を過ごせるようサポートします。
適応保険について
がん末期の患者さんは医療保険を利用でき、介護保険の利用よりも訪問看護の利用回数を増やすことが可能です。
ただし、「末期の悪性腫瘍」や「がん末期」の病名だけでなく、患者さんの年齢や介護認定の有無も関係します。
まとめ
がん末期の患者さんも、自宅で医療サービスを利用しながら生活することができます。
患者さんやご家族の想いに寄り添い、最期まで自宅で穏やかに過ごすために、在宅医療のさまざまな専門職が丁寧にサポートします。
がん末期の在宅医療サービスについて気になる場合は、主治医やケアマネージャー、訪問診療クリニックに問い合わせてみましょう。
この記事が、がん末期の患者さんやご家族の助けになれば幸いです。
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