訪問看護を毎日利用したいと思った時に、どの程度費用がかかるか気になりませんか?
費用の想定ができれば、万が一の際に訪問看護を適切な頻度で利用できるでしょう。

この記事を読めば、訪問看護を毎日利用する際の大まかな費用が把握でき、自己負担額の想定ができます。

手続き方法も説明しますので、最後までお読みください。

訪問看護を毎日利用する際の費用シミュレーション

訪問看護を毎日利用する際の費用は、利用する保険によって異なります。

医療保険と介護保険に分けて紹介していきます。

医療保険での訪問看護料金

医療保険での訪問看護料金表は以下の通りです。

訪問看護を毎日利用する予定の方は、黄色にマークしている部分の料金を確認してみてください。


看護師による訪問
①+②自己負担割合別 負担金額
基本療養費管理療養費合計(10割)1割2割3割
月の初日週3日まで5,550円7,670円13,220円1,320円2,640円3,970円
週4日以降※6,550円7,670円14,220円1,400円2,800円4,200円
月の2日目以降週3日まで5,550円3,000円8,550円860円1,710円2,570円
週4日以降6,550円3,000円9,550円960円1,910円2,870円
※週は日曜日が起点となり、前月から続く訪問の場合は、月の初日でも週4日目の算定になる場合がある。

訪問看護を医療保険で7日間利用する場合、負担割合別に見た自己負担額は以下の通りです(月の初日から利用を想定)。

  • 自己負担割合が1割の場合:1,400円×7=9,800円
  • 自己負担割合が2割の場合:2,800円×7=19,600円
  • 自己負担割合が3割の場合:4,200円×7=29,400円

毎日訪問看護を利用すると1週間の出費は1割負担の方で9,800円、3割負担の方であれば29,400円にもなります。ただし、医療保険で訪問看護を利用する場合は訪問回数の上限が決まっています。この点は後ほど詳しく説明しますが、全員が毎日利用できるわけではない点を覚えておきましょう。

また、より手厚く訪問看護を利用する場合は24時間対応体制加算や緊急訪問看護加算など、18個の加算(オプションサービス)が存在します。

加算を増やすほど費用が高額になっていくため、より詳しく知りたい方は「医療訪問看護利用料金表」の加算料金表をご確認ください(加算の料金は訪問看護ステーションによって異なるため、あくまで参考)。

介護保険での訪問看護料金

次に、介護保険での訪問看護料金表(神奈川県足柄上郡の場合)を紹介します。介護保険は要介護または要支援で金額が変わるため、ご自身に該当する項目を確認してみてください。

料金は地域によっても異なるため、詳しくはケアマネジャーに確認しましょう。

【要介護】所得によって1割から3割の負担額が変更 


訪問看護

費用額(10割)
利用者負担額
1割2割3割
訪問看護Ⅰ2(30分未満)4,710円471円942円1,413円
訪問看護Ⅰ3(30分以上60分未満)8,230円823円1,646円2,469円
訪問看護Ⅰ4(60分以上90分未満)11,280円1,128円2,256円3,384円

【要支援】所得によって1割から3割の負担額が変更 


介護予防訪問看護

費用額(10割)
利用者負担額
1割2割3割
予防訪問看護Ⅰ2(30分未満)4,510円451円902円1,353円
予防訪問看護Ⅰ3(30分以上60分未満)7,940円794円1,588円2,382円
予防訪問看護Ⅰ4(60分以上90分未満)10,900円1,090円2,180円3,270円

訪問看護を介護保険で7日間利用する場合、負担割合別に見た自己負担額は以下の通りです(南足柄市、要介護で60分以上利用を想定)。

  • 自己負担割合が1割の場合:1,128円×7=7,896円
  • 自己負担割合が2割の場合:2,256円×7=15,792円
  • 自己負担割合が3割の場合:3,384円×7=23,688円

毎日訪問看護を利用すると1週間の出費は1割負担の方で7,896円、3割負担の方であれば23,688円にもなります。

また、医療保険と同様により手厚く訪問看護を利用する場合は、緊急時訪問看護加算やターミナルケア加算など、10個の加算が存在します(項目内で金額が別れる加算あり)。

加算を増やすほど費用が高額になっていくため、より詳しく知りたい方は「訪問看護料金表【介護保険】(令和6年6月1日現在)」の加算料金表をご参考ください(加算の料金は訪問看護ステーションによって異なるため、あくまで参考)。

訪問看護の訪問回数の上限と自己負担額

訪問看護で訪問できる回数は、利用している保険によって異なります。さらに、訪問回数の上限を超えるとそれ以降の利用金額は保険適応外となり、自費での利用となってしまいます。

制限なく利用できるサービスではないため、訪問回数の上限と自己負担額について正しく理解しておきましょう。

訪問看護の訪問回数の上限

訪問看護で訪問できる回数の上限は、医療保険か介護保険で違いがあります。
医療保険では、原則1日1回(1回の訪問は90分まで)、週3日までと規定されています。

ただし、病名や医師の指示によっては、同日の複数回訪問や90分以上の訪問が可能です。

一方で、介護保険での訪問看護には訪問回数の上限が定められていません。ケアマネージャーが立てた介護サービス利用計画に応じて、必要であれば1日に複数回や1週間に3日以上の利用も可能です。

ただし、介護度ごとに設定されている支給限度額を超えた分は自費での利用となってしまいます。介護保険だからといって、無制限に訪問看護を利用できるわけではない点を留意しておきましょう。

訪問回数の上限を超えた場合の自己負担額

訪問回数の上限を超えた場合、医療・介護保険に関わらず自己負担額が発生してしまいます。医療保険では同日4回目以降の訪問の場合、介護保険では支給限度額を超えた場合に自己負担分が発生しますので、利用する場合は金額も念頭に入れておきましょう。

また、訪問回数の上限を超えた場合の自己負担額は、訪問看護ステーションごとで金額が変わる場合があります。正確な料金はケアマネジャーが把握しているため、利用を検討する段階で確認してみましょう。

 訪問看護を毎日利用するための手続き

訪問看護を毎日利用したい場合、医師から特別訪問看護指示書(以下、特指示)を交付してもらうことで可能になるケースがあります。

特指示の交付条件は以下の通りです。

  • 感染症などで症状が急に悪化したとき
  • がん以外の病気で余命が短いと判断されたとき
  • 退院の直後

これらの条件に当てはまり、医師が「週4日以上の訪問看護の必要がある」と判断すれば、2週間有効の特指示が交付されます。

原則として、1人につき1ヶ月1回のみの交付と決まっていますが、以下の場合は1ヶ月に2回まで交付してもらえます。

  • 気管カニューレを使用している場合
  • 深い褥瘡(じょくそう)の状態にある場合

また、特指示を交付してもらわなくとも、以下の、対象となる疾患を患っている場合や医療的処置が高頻度で必要な状況では、毎日訪問看護が利用可能です。

  • 別表7の疾患をおもちの場合
  • 医療保険適用の方で別表8に該当する場合

別表7・8について以下に示します。

別表7

  • ・末期の悪性腫瘍
  • ・プリオン病
  • ・多発性硬化症
  • ・亜急性硬化性全脳炎
  • ・重症筋無力症
  • ・ライソゾーム病
  • ・スモン
  • ・副腎白質ジストロフィー
  • ・筋萎縮性側索硬化症
  • ・脊髄性筋萎縮症
  • ・脊髄小脳変性症
  • ・球脊髄性筋萎縮症
  • ・ハンチントン病
  • ・慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • ・進行性筋ジストロフィー症
  • ・後天性免疫不全症候群
  • ・パーキンソン病関連疾患
  • ・頸髄損傷
  • ・多系統萎縮症
  • ・人工呼吸器を使用している状態

別表8
1.在宅悪性腫瘍等患者指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者
2. 以下のいずれかを受けている状態にある者

  • ・在宅自己腹膜灌流指導管理
  • ・在宅血液透析指導管理
  • ・在宅酸素療法指導管理
  • ・在宅中心静脈栄養法指導管理
  • ・在宅成分栄養経管栄養法指導管理
  • ・在宅自己導尿指導管理
  • ・在宅人工呼吸指導管理
  • ・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
  • ・在宅自己疼痛管理指導管理
  • ・在宅肺高血圧症患者指導管理

3.人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者
4.真皮を越える褥瘡の状態にある者
5.在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

特指示中は介護保険で訪問看護を利用している方でも、医療保険での利用に切り替わります
医師に直接交付をお願いできない場合は、訪問している看護師に相談してみてください。

まとめ|毎日利用する前に費用の確認を

訪問看護を毎日利用する場合は利用している保険によって金額が変わります。
追加する加算によっても金額が変わってくるため、ケアマネジャーと相談しながら費用のシミュレーションをしていきましょう。

また、医療保険での訪問看護は利用回数の上限が決まっており、毎日利用する場合は特別訪問看護指示書の交付が必要となります。

介護保険においても支給限度額を超えた場合は自費での利用となってしまうため、毎日の訪問が必要な際には、他の介護保険サービスとのバランスも考えて利用を検討しましょう。

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