パーキンソン病関連疾患を患うと、症状の進行に伴い日常生活に介助が必要になり、定期的な通院が難しくなっていきます。
大変な状態で無理に通院を続けていると、患者さんの身体的な負担が増えるだけでなく、ご家族の介護負担も増しかねません。これまで長く診てもらってきた主治医から離れることもあるため難しい判断となりますが、安心してできるだけ快適に在宅療養を続けるため、訪問診療の導入は重要な選択肢の1つです。
そこで今回は、パーキンソン病関連疾患の方が訪問診療を利用できるまでの流れと、訪問診療でどのように治療が受けれらるか解説します。
通院が難しくなって悩んでいる方はぜひ最後まで読んで、利用するかの検討材料にしてみてください。
目次
パーキンソン病関連疾患の患者が
訪問診療を利用できるまでの流れ
パーキンソン病関連疾患の患者さんが訪問診療を利用するためには、まず対応可能な訪問診療医を探す必要があります。
訪問診療医の探し方
まずは、現在かかっている病院の主治医やソーシャルワーカー(地域連携室など)に相談してみましょう。かかっている病院が訪問診療を行っている場合もあります(訪問診療を行うためには半径16km以内の距離制限あり)。
現在かかっている病院が対応不可であれば、お住まいの地域で神経内科医が在籍する訪問診療対応の医療機関を紹介してもらいましょう。
介護認定を受けている方は、ケアマネージャーに相談するのも1つの手段です。
※注意点として、神経内科医が在籍する訪問診療対応の医療機関は多くありません。その場合は、現在の主治医にもかかりながら、普段は訪問診療を利用するといった形で併用することも可能です。これまで診てもらってきた主治医がバックアップし連携をとってサポートするので、安心です。
介護認定について
訪問診療は通院困難であれば、要介護認定されていなくても利用可能です。
ただし、医療機関によっては要介護認定を受けていない方の訪問診療を断るケースがあります。地域で安心して暮らすためには、訪問・通所サービスや、ベッドのレンタルなどさまざまなサービスを利用が必要になってくるため、要介護認定の手続きを済ませておくのがおすすめです。
事前面談
紹介してもらった医療機関では、相談員や看護師などと事前に面談し、以下を確認しましょう。
- 診療方針
- 費用
- 訪問可能な日時
- 緊急時の対応
訪問診療開始
契約後、訪問診療開始となります。
医師や看護師が決まった日時に定期的に自宅を訪問して診療を行います。
緊急時の対応も確認しておきましょう。
パーキンソン病関連疾患で
訪問診療を利用する際の治療方針
パーキンソン病関連疾患の治療として、訪問診療ではパーキンソン病治療薬の処方や調整を行います。しかし、感染症の対策やご家族の介護負担の軽減など、投薬以外の治療も生活を継続する上で重要です。
以下で、訪問診療を利用する際の治療方針を確認していきましょう。
薬の処方・調整
パーキンソン病関連疾患の治療において、薬物療法が中心的な役割を担います。主治医は患者さんの症状や進行度に応じて、さまざま薬剤を選択し処方します。
薬の効果や副作用は個人差が大きいため、定期的な診察で症状の変化を確認し、適宜調整を行います。また、薬の効果が残っている on 状態と薬の効果が切れている off 状態 が出現する「ウェアリングオフ」現象への対応として、服薬のタイミングや回数の調整も大切です。
対症療法
病気の進行に伴い、便秘やうつ症状、睡眠障害などが見られることもあります。
その都度相談し、症状をコントロールすることで、日常生活の負担を軽減することができます。
感染症の対策
体調の変動に対する治療以外にも、感染症を予防する対策も重要な治療といえます。
たとえばパーキンソン病関連疾患の方は食事の姿勢が崩れやすく、また嚥下に関わる筋力の低下などで誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高いからです。
(※嚥下とは、食べ物や飲み物を飲み込む機能のことです)
適切な姿勢で食事を食べられる、嚥下機能に応じてとろみをつけるなど、誤嚥性肺炎への対策は極めて重要です。訪問診療で状態を把握し、看護師や理学療法士、言語聴覚士などと連携して感染症への対策を行なっていきます。
家族の介護負担の軽減
パーキンソン病関連疾患の介護は長期にわたるため、介護にかかる負担は計り知れません。そのため、介護を担う家族の負担軽減は非常に重要な課題です。
症状が徐々に進行してくると生活上で介助が必要な場面が増えてくるため、デイサービスや訪問介護、ショートステイなどの介護サービスを上手に活用し、休息が取れる時間を確保するようにしましょう。
これらのサービス調整はケアマネジャーが中心に行いますが、訪問看護で自宅を訪れている看護師などと連携した際にアドバイスをするケースがあります。
パーキンソン病の方の生活を支える上でご家族の協力は必要不可欠です。健やかに生活を続けるためにも、ご家族の負担を軽減することは重要な治療の一環といえるでしょう。
パーキンソン病に該当することで受けられる公的支援制度
パーキンソン病を患った際、利用できる公的支援制度は年齢や重症度によって変わってきます。
以下は、各条件に応じた公的支援制度の詳細です。
75歳以上でホーエン・ヤール 重症度分類がⅠまたはⅡ の場合 | 後期高齢者医療制度医療保険制度 |
75歳以上でホーエン・ヤール 重症度分類がⅢからⅤ度 の場合 | 難病医療費助成制度身体障害者福祉法(身体障害者手帳1、2級の場合) |
40歳以上の場合 | 介護保険制度 |
40歳以上で身体障害者手帳を 持っている場合 | 介護保険制度身体障害者福祉法障害者総合支援法 |
いずれの制度でも訪問診療を利用することはできます。しかし、どの制度を活用するかによって診療にかかる費用が変わってきます。例えば、身体障害者福祉法で身体障害者手帳が公布された場合、医療費が一定額を超えると助成の対象となるのです。
まとめ|通院が難しい方は訪問診療の検討を
今回はパーキンソン病関連疾患の方が訪問診療を利用できるまでの流れや、訪問診療での治療方針について解説しました。パーキンソン病治療薬の処方や調整以外にも、感染症の予防やご家族の介護負担を軽減することが健やかな生活の継続につながります。
ただし、訪問診療の利用だけでは生活を維持するのは困難です。公的支援制度を利用して、訪問診療以外の訪問系サービスや通所、外泊のサービスを有効に活用していきましょう。
パーキンソン病の症状が重症化してくれば、いずれは通院が難しくなってきます。その際には、ぜひ訪問診療の利用を検討してみてください。
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