「進行性筋ジストロフィー症でも自宅で過ごせるの?」
「訪問看護はどんなことをサポートしてくれるの?」
進行性筋ジストロフィー症の患者さんやご家族のなかには、こうした疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
進行性筋ジストロフィー症は、徐々に筋力が低下していく難病です。 診断を受けた方やご家族は、将来の生活に不安を感じるかもしれません。
そんな不安に寄り添い、専門的なケアを提供するのが訪問看護です。
訪問看護は、進行性筋ジストロフィー症を抱える患者さんやご家族が安心して生活できるようにサポートする重要な役割を担っています。
この記事では、この記事では、進行性筋ジストロフィー症の患者さんとご家族に対する訪問看護の具体的なサポート内容や、在宅生活で気をつけるべきポイントをわかりやすく解説します。
ぜひ最後まで読んで、今後の生活の参考にしてみてください。
目次
進行性筋ジストロフィー症患者さんへの訪問看護サポート内容
訪問看護では進行性筋ジストロフィー症の患者さんがより良い生活を送れるよう、主に次のようなサポートを行います。
- 日常生活の支援
- リハビリテーション
- 多職種との連携
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
日常生活の支援
在宅医療のなかでも、訪問看護は患者さんやご家族の身近な存在です。
日々の体調を観察しコミュニケーションをとることで、患者さんの変化を敏感に察知し、異変の早期発見に努めています。
日常生活のなかで、患者さんやご家族から多く相談を受けるのが「清潔ケア」や「排泄ケア」です。
訪問時には看護師とヘルパーが一緒に清拭(体を拭く)や入浴やなどの清潔ケアを行います。ご家族に負担の少ない介助方法も指導します。
排泄に関する悩みはデリケートなものですが、重要な日常生活の一部です。訪問看護ではオムツの使用や排便コントロールについて提案し、患者さんやご家族の意向を確認しながら進めます。
リハビリテーション
進行性筋ジストロフィー症は骨格筋の病変が原因で運動機能や筋力が低下し、次第に全身の機能が障害される病気です。
訪問看護では筋力の維持や身体の拘縮を予防するため、患者さんの身体の状態に応じたリハビリテーションを行います。日常生活で必要な動作に取り入れたり、理学療法士による専門的なリハビリを受けたりすることも可能です。
また呼吸筋の筋力が低下すると咳をする力が弱まり、呼吸器感染症を拗らせやすいといわれています。そのため、呼吸筋の維持や効果的に痰を出す方法などを含めた呼吸リハビリテーションが大切です。
多職種との連携
2024年現在では、医療の研究により進行性筋ジストロフィー症に対する治療薬の開発が進められています。しかし、現時点ではまだ根本的な治療には至っていません。
そのため、病気の基本的な方針である「患者さんの症状に適切に対応すること」が重要です。
訪問看護師は患者さんの体調の変化をアセスメントし、必要に応じて主治医やリハビリスタッフと連携しながら患者さんの苦痛を最小限に抑えるよう努めます。患者さんの身近な存在である訪問看護師の重要な役割です。
また小児患者さんの場合は主治医の指示に基づいて保育園や学校と連携し、安心して集団生活を送れるようにサポートします。
進行性筋ジストロフィー症患者さんの日常生活で気を付けたいポイント
進行性筋ジストロフィー症患者さんが病気と上手く付き合いながら生活するためには、日常生活における注意点があります。
合併症や怪我などの負担を抱えないために、気を付けたいポイントを知っておきましょう。
感染症予防
呼吸筋の筋力や呼吸機能が低下すると呼吸器感染症を引き起こしやすくなるため、感染予防が大切です。
看護師が訪問した際には、日常的にご家族も取り組める感染予防対策を指導します。
また、呼吸筋の筋力が低下すると痰が溜まりやすくなり、吸引が必要になることもあるでしょう。
訪問時に看護師も痰の吸引を行いますが、必要なときにご家族でも行えるように吸引の方法をお伝えします。
不安なく行えるように丁寧にサポートしますので安心してください。
ただし、吸引で取り切れないほど痰が多いときは訪問看護師に相談し、必要時は医療機関を受診しましょう。
転倒・転落防止
進行性筋ジストロフィーの患者さんは、筋力の低下や身体の拘縮により思うように身体が動かず、転倒や転落をおこしやすい状態です。
そこで、次のような転倒・転落の対策を行います。
- ベッドの高さを低くする
- 患者さんの生活動線を整える
- 家族が離れるときにはベッド柵を使用する
- 身体の動かし方を患者さんと一緒に考える
できるだけ患者さんやご家族が取り組みやすいものを提案できるように心がけています。
進行性筋ジストロフィー症患者さんとご家族への訪問看護による精神的ケア
病気を抱えながら自宅で生活することは大変なものです。
訪問看護では患者さんやご家族が抱える気持ちの負担を軽減するために、精神的ケアも大切にしています。
患者さんの意思決定
病気が進行していくなかで、患者さんが抱える不安や恐怖は計り知れません。
日々のなかで感情が揺れ動くことも多くあるでしょう。
訪問看護師は、患者さんの想いをしっかり傾聴し「患者さんの望む生活」をサポートします。
たとえば「外出したい」という希望があれば、体調の良いときに買い物や散歩に出ることも可能です。外出の準備や送り出しなどを支援することができます。
患者さんの望みをできるだけ実現できるようにサポートします。どんな小さなことでも伝えてみてください。
ご家族へのサポート
小児期に発症することもある進行性筋ジストロフィー症では、患者さんだけでなくご家族の不安や悲嘆も大きいものです。
とくに小児患者さんの場合は在宅医療に関する情報が入りにくく、孤立してしまうご家族も少なくありません。
訪問看護はご家族の想いに寄り添いながら「成長にともなって起こりうる変化」や「在宅医療で利用できるサービス」などの情報提供も行います。
患者さんにとってご家族の存在はとても大切なものです。疑問や不安は抱え込まず、ぜひ訪問看護師に相談してください。
まとめ
訪問看護は、進行性筋ジストロフィー症の患者さんの希望に沿った生活をサポートする役割があります。
合併症を予防し病気と上手く付き合いながら、充実した生活を実現できるように一緒に考えていきましょう。
訪問看護の導入について詳しく知りたい方は、市町村の相談窓口や病院のソーシャルワーカー、訪問看護ステーションに相談してみてください。医療サービスの利用方法についても教えてもらえます。
この記事が、訪問看護の利用を考えている進行性筋ジストロフィー症患者さんやご家族の参考になれば幸いです。
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