
「脊髄損傷の家族の褥瘡予防、どうすればいい?」
「在宅でできる具体的な予防方法を知りたい」
「医療サービスをうまく活用する方法は?」
このように考えている脊髄損傷患者さんやご家族はいませんか?
脊髄損傷患者さんの褥瘡予防は、QOL(Quality Of Life:生活の質)を保つうえで重要なものです。在宅で正しい褥瘡予防を実施するために、在宅医療サービスを活用することもできます。
今回は、脊髄損傷患者さんが在宅での褥瘡予防が必要な理由や予防のポイントを詳しく紹介します。在宅医療サービスの内容についても触れていますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
目次
脊髄損傷患者の在宅生活での褥瘡予防が必要な理由
脊髄損傷患者さんに褥瘡予防が必要なのは、次の理由が挙げられます。
- 病気の影響で褥瘡が発生しやすい
- 褥瘡が発生してしまうと治りにくいことがある
それぞれの理由を詳しく解説します。
病気の影響で褥瘡が発生しやすい
脊髄損傷の患者さんに褥瘡予防が必要なのは、病気が要因となり褥瘡が発生しやすいためです。
損傷を受けた脊髄の位置によって現れる症状はさまざまですが、脊髄損傷患者さんの症状には次のものが挙げられます。
- 感覚麻痺
- 運動障害
- 呼吸機能障害
- 排尿・排便障害
上記のような症状のなかでも、感覚麻痺や運動障害では、身体の一部が長い時間圧迫されても気づきにくいことがあり、褥瘡発生のリスクが高まります。また、排尿・排便障害では、オムツの装着や排尿・排便しても気づかないことなどにより皮膚の清潔が保ちにくいことが、褥瘡につながるかもしれません。
褥瘡が発生してしまうと治りにくいことがある
脊髄損傷は、その症状により褥瘡が発生しやすいだけでなく、発生してしまうと治りにくいケースがあります。
褥瘡が発生しやすい理由にもありますが、治りにくい理由にも感覚麻痺や運動障害の影響が挙げられます。感覚と運動の2つの神経機能が障害されていると、自分で痛みを感じたり、身体の一部分の圧迫を解除する動きをとったりすることができません。そのため、褥瘡が治ったとしても、再発してしまう可能性があるのです。
これらのことから、脊髄損傷の患者さんは、褥瘡が発生しないように予防することが重要であることがわかります。
在宅でできる脊髄損傷患者の褥瘡予防のポイント
ここからは、脊髄損傷患者さんの在宅でできる褥瘡予防のポイントについてお伝えします。
- 褥瘡ができやすい場所を知る
- 同じところを長時間圧迫することを防ぐ
- 清潔を保ち、皮膚トラブルを防ぐ
それぞれ詳しくみていきましょう。
褥瘡ができやすい場所を知る
褥瘡ができやすい場所には、次の部位があります。
- 臀部(おしり)
- 背中
- 踵
とくに、寝たきりで自力での寝返りが難しい方では、ベッドと皮膚の接触や摩擦が起きやすいところに褥瘡が発生しやすくなります。また、高齢者で痩せている方では、骨が突出しているところが圧迫や摩擦を受けやすいため注意したいところです。
褥瘡ができやすい場所や患者さんの身体から褥瘡ができやすそうなところを把握しておくと、褥瘡予防にも役立ちます。
同じところを長時間圧迫することを防ぐ
褥瘡予防には、身体の一部分を長い時間圧迫しないようにすることが欠かせません。そのための対策として、次のような方法があります。
- 定期的な体位変換
- 身体の可動域を広げるためのリハビリテーション
体位変換には介護者の負担を軽減する便利なグッズとして、以下のようなものがあります。
褥瘡予防グッズ | 目的・機能 | レンタル費用(月額)* |
エアマット | ・体圧を分散し、特定部位への圧迫を軽減 ・電動で空気を送り、定期的に圧力を変化させることで血行を促進 | 800~1,500円 |
スライディングシート | ・体位変換時の摩擦を軽減 ・介護者の負担を減らしながら安全に体位変換が可能 | 約50円 |
体位変換クッション | ・身体の隙間を埋めて圧力を分散 ・安定した体位保持が可能 ・様々な部位に対応可能 | 100~300円 |
※これらの福祉用具は、ケアマネジャーに相談の上、介護保険を利用してレンタルすることができます。
また、身体の動きが少なくなると皮膚同士の接触につながるため、関節が固くならないように可動域を確保したり筋力をつけたりする目的でリハビリテーションも行います。
清潔を保ち、皮膚トラブルを防ぐ
褥瘡の予防には、皮膚の清潔を保つことが重要です。
そのため、こまめに皮膚状態をチェックし、いつもと変わりがないか、赤くなっている部分はないか確認しましょう。
排尿・排便障害のある患者さんではとくに、排泄物がオムツ内に長時間そのままになることがないようにすることが大切です。
薬剤による排便コントロールを検討したり、入浴・清拭などをこまめに行なったりして、できるだけ皮膚の清潔を保ちましょう。
脊髄損傷患者における褥瘡予防ケアを在宅医療がサポート
脊髄損傷患者さんの在宅での褥瘡予防は、在宅医療サービスのサポートを受けることが可能です。たとえば、次のような在宅医療サービスがあります。
在宅医療サービス | サポート内容 |
訪問診療 | 全身状態(褥瘡発生に影響する貧血や低栄養などを含む)のチェックや褥瘡発生時の処置 |
訪問看護 | こまめな皮膚状態の確認、効果的な清潔ケアの実施とご家族への指導 |
訪問リハビリテーション | 関節可動域訓練や筋力維持訓練、残存機能を維持するためのリハビリテーション |
福祉用具業者 | 褥瘡予防のためのエアマットや体位変換器などの紹介やレンタル |
在宅ケアによる褥瘡予防には、多職種の連携が欠かせません。専門職の視点から患者さんの状態に適した褥瘡予防方法をサポートします。
まとめ
脊髄損傷患者さんは、病気の影響で褥瘡ができやすく、治りにくい状態です。そのため在宅における褥瘡予防では、正しい方法で継続することが欠かせません。
定期的な体位変換やこまめな清潔ケアで褥瘡を予防しながら、自宅で快適な生活を送りましょう。
患者さんご本人やご家族だけで褥瘡予防への対応が難しいときには、在宅医療サービスによるサポートを検討してみてはいかがでしょうか。利用したい場合は主治医やケアマネジャーにご相談ください。
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