「うまくストーマケアしていけるか不安」
「通院は月に1回だから、その間が心配」
「ひとりでストーマ管理できなくなった時どうしよう」
これからストーマケアが始まる方や、これまでご自分でストーマ管理されてきた方は、ストーマケアを続けていくことにご不安になることもあるでしょう。
訪問看護を利用し、実際のストーマケアはもちろん、ストーマ管理のサポートを受けることで、安心してケアを継続していくことができます。
この記事では、訪問看護師が、訪問看護で行うストーマケアについて分かりやすく紹介します。
目次
ストーマとは
なぜ必要?
ストーマとは、便や尿を排泄するための、手術によってお腹に作られた排泄口のことを言います。
ストーマが必要になるのは、消化管や膀胱などが十分な機能を果たせなくなったときや、病気や手術の影響で腸を休ませる必要があるときです。 ストーマの原因となる病気はさまざまですが、多くは悪性腫瘍(がん)です。疾患の部位によってストーマの位置が変わります。
ストーマを造設した人のことを「オストメイト」と呼びます。 人工肛門と人工膀胱の2種類があり、どちらも造設するには手術が必要です。消化管や尿管の経路を変更し、直接お腹から排泄するため、自分の意志で便意や尿意を調整することができません。そのため、ストーマにパウチ(袋)を付けて排泄物を受け止められるようにします。
ストーマの人口は何人?
現在日本ではストーマを造設したオストメイトは20万人以上と言われており、日本オストミー協会の調査によるとそのうち約7割が大腸がん手術後の結腸ストーマを増設した方です。
大腸がんは日本人に最も多いがんであり、年々増加傾向にあることから、オストメイトも増加しています。
更に、少子高齢化や医療の進歩により、オストメイトの高齢化が進んでおり、加齢や疾患の進行や核家族化のため、ストーマの管理が困難になるケースが増えています。
訪問看護でのストーマ管理
たとえ退院前にストーマケアの教育を受けていたとしても、実際に自宅に帰ってみると、自分で行っていくことは簡単なことではありません。
訪問看護師は、生活の中でのお困りごとの相談にのり、指導やアドバイスを行います。またご自分での交換やケアが難しい利用者さんの場合には実際のケアも行います。
- 健康状態の確認
- ストーマ装具の交換、便破棄
- 皮膚トラブルのケア
- ケア方法の指導、相談
- 服薬管理・指導
- 食事・運動など日常生活支援
- メンタルケア
私の勤めるステーションでも、これまで長くご自身でケアしてこられた利用者さんが認知症などで管理が難しくなり訪問看護を開始するケースや、新たにストーマを増設された利用者さんが退院しケアに慣れるまでフォローするケース、どちらもみられます。
安心して温泉や旅行を楽しめるようになった利用者さんもおられます。
訪問看護でのストーマケアの料金体制
介護保険
65歳以上で「要支援者」「要介護者」と認定された方が利用できる制度です。
40歳から64歳までの方は、介護保険の対象となる特定疾病(脳血管疾患や末期がん等)により介護が必要と認定された場合に、訪問看護を含む介護保険を利用したサービスを受けることができます。
要介護認定に関しては、ストーマ造設自体は直接的には関係なく、日常生活において何かしらの支援が必要かどうかが問われます。
基本的には1割の自己負担で受けられます。(前年度の所得に応じて、自己負担率が2割あるいは3割になる場合があります。)
例として、週に3回、1回30分利用の訪問看護の場合、ストーマ管理のための特別管理加算を含め、1ヶ月あたり約6600円(1割負担の場合)です。
医療保険
上記の介護保険適応にあたらない方は医療保険が適応されます。
基本的に要介護認定を受けた方は介護保険が優先して適応されますが、要介護者であっても、末期がんや難病患者の場合は医療保険適応となります。また、要介護認定がなされるまでの間であっても、特別訪問看護指示書を交付してもらうことで、訪問看護を利用することができます。
例として、身の回りのことは全てご自分ででき要介護認定適応にならない75歳以上の方が、退院後に週1回で訪問看護を利用する場合、1ヶ月あたり約4300円(1割負担の場合)です。この他に24時間対応体制加算等が必要になる場合があります。
- ※交通費などがかかる場合があります。
- ※利用料金については自治体やサービス提供事業者によって異なるので、金額はあくまで目安となります。
ストーマ外来との連携
かかりつけ病院によっては「ストーマ外来」があり、ストーマケアの専門家である皮膚・排泄ケア認定看護師がいます。
訪問看護師は窓口であるストーマ外来と連携をはかり、質の高いケアを提供します。
医療との連携のほかに、地域に即したサポートサービスやストーマ関連の団体の紹介を行います。
まとめ
今回は訪問看護でのストーマケアについてお伝えしました。
訪問看護ではそれぞれの利用者さんのお宅にうかがい、実際の生活の中でのお困り事に寄り添った支援を行います。
専門的知識をもって、利用者さんの生活の中で出来る範囲で継続していく方法を、ご本人やご家族と一緒に考えていきます。
安心して快適にストーマのある生活を送っていけるよう、利用できるサービスを確認しましょう。
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