末期の悪性腫瘍と診断された大切な方の療養生活を支えるなかで、訪問看護の回数ついて悩んでいませんか?
訪問看護は、自宅での快適な療養生活を実現するために欠かせないサービスです。
この記事では、訪問看護を利用できる回数や増やすためのプロセスについて、ご家族が知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。気になる費用負担についても触れますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
末期の悪性腫瘍とは?
頻回な訪問看護が療養生活で大切な理由
末期の悪性腫瘍と診断された多くの方は、身体の苦痛や気持ちのつらさを抱えています。
こうした状況にある利用者さんにとって、訪問看護は生活の質を支えてくれる重要なサービスであり、ご家族にとっても精神的な支えとなります。
末期の悪性腫瘍の定義
末期の悪性腫瘍とは、「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不能と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」を指します。
この段階では、治療の目的は病気を治すことではなく、痛みや不快な症状を和らげる「緩和ケア」に重点が置かれます。
よって、目標は身体的な苦痛をできるだけ抑えながら、残された時間をその人らしく快適に過ごせるようサポートすることといえます。
そのため、利用者さんはもちろん、ご家族も末期の悪性腫瘍の理解、さらにはどう受け入れていくかが重要であり、医療スタッフのサポートが不可欠です。
訪問看護の重要性
末期の悪性腫瘍と診断された利用者さんにとって、訪問看護は自宅で安心して最期の時間を過ごせるようサポートしてくれる重要な医療サービスです。
訪問看護師が痛みやその他の症状の緩和、薬の管理、精神面のサポートを行うことで、病院ではなく、慣れ親しんだ自宅でご家族と共に時間を過ごせます。
また、訪問看護が定期的に行われることで、必要なときに医療スタッフの助けを得られるので、ご家族の安心にもつながります。
末期の悪性腫瘍患者の訪問看護:公的保険と利用上限
訪問看護に適用される公的保険制度や利用可能回数、そして費用負担を軽減する方法について解説します。
適用される公的保険制度
末期の悪性腫瘍を患う方への訪問看護には、医療保険が適用されます。
これは、末期の悪性腫瘍が厚生労働大臣が定める疾患に該当するからです。
たとえ要支援や要介護認定を受けた方であっても、医療保険の給付対象になります。また、厚生労働大臣が定める疾患であるので、通常の訪問回数や訪問時間を超えた訪問看護を受けることができます。
訪問看護の利用可能回数
通常、医療保険における訪問看護の利用回数は週3回まで、利用時間は1回30分から90分以内と決まっています。
しかし、末期の悪性腫瘍と診断された方の場合、通常よりも柔軟な訪問看護の利用が可能です。
- ・週4日以上利用可能
- ・1日の利用回数:最大3回まで
- ・複数の訪問看護ステーションの利用も可能
- →週4日利用:2つのステーション
- →毎日の利用:3つのステーション
これにより、患者さんの状態や必要に応じて、きめ細かなケアを受けることができます。
費用負担と負担を軽減する方法
具体的な訪問看護の費用は、以下のとおりです。
- ・訪問看護基本療養費(1日)
- 週3日目まで:5,550円
- 週4日目以降:6,550円
- ・訪問看護管理療養費(1日)
- 2日目以降:3,000円
- ・難病等複数回訪問加算(1日)
- 1日に2回の場合:4,500円
- 1日に3回の場合:8,000円
医療保険が適用されることで、実際の自己負担は1割から3割になります。
例えば、1日に2回、週4回の訪問看護を利用した場合のおおよその自己負担は、1割負担の方で1日あたり1,300円から1,400円、3割負担の方で3,900円から4,200円となります。
自己負担を軽減する方法として、高額療養費制度※の利用が挙げられます。この制度を活用することで、毎月の自己負担額が一定額以上にならないよう調整されます。
たとえば、70歳以上の方は、以下のように上限額が設けられます。
- 低所得者(住民税が非課税):8,000円/月
- 一般:12,000円/月
- 現役並みの所得者(月収28万円以上など):44,400円/月
また、加入中の民間保険の活用も検討しましょう。
これらの制度やサービスを活用することで、経済的な負担を抑えながら、必要な訪問看護を受けることが可能です。
※お問い合わせ先は各保険者へ(健康保険組合、協会けんぽ、市町村)
訪問看護回数の決定プロセスとその関係者
訪問看護の回数決定は、利用者さんの病状や生活状況を考慮して慎重に行われます。このプロセスには医師や看護師、ケアマネジャーといった複数の専門職が関わり、それぞれの役割を果たします。
末期の悪性腫瘍の場合、急に状態が変化することがあるので、柔軟かつ適切な訪問回数を確保することが必要です。また、このプロセスにおいて、利用者側の意見や希望を実現できるように配慮されます。
訪問看護回数は誰が決めるのか?プロセスの全容
訪問看護の回数を最終的に決定するのは、主治医です。
主治医は病状を評価し、必要な訪問看護の回数を指示します。また、日頃から関わりのある医療機関の看護師や社会福祉士などがいれば、自宅での様子や生活の状況を主治医に報告し、それを基に回数の調整が行われることもあります。
利用者側の希望を反映させるための具体的手順
利用者側の希望を訪問看護回数に反映させるためには、希望や懸念事項を具体的に伝えることが大切です。
訪問看護が導入される前段階として、主治医や訪問看護師、利用者さん、ご家族といったメンバーで会議が開かれることがあるので、その場を有効に活用しましょう。希望を叶えたり心配ごとを払拭したりするには、どのタイミングで訪問看護が必要か、事前に利用者さんとご家族で意見をすり合わせておくと、上手くいくはずです。
まとめ:訪問看護を最大限に活用し、その人らしい療養生活を実現しましょう
末期の悪性腫瘍と診断された利用者さんの訪問看護は、回数の柔軟な調整が可能です。
回数や利用条件について不安や疑問がある場合は、遠慮せずに医療関係者に相談し、適切なサポートを受けられるようにしましょう。
訪問看護を最大限に利用することで、利用者さんの「その人らしさ」を支え、大事な時間を過ごせるはずです。
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