「人工呼吸器を使用していても、自宅で生活できるの?」
「訪問診療を利用するメリットはなに?」
このような疑問をお持ちの方はいませんか。
訪問診療は、人工呼吸器を使用している患者さんを医療の面から支える心強い存在です。
この記事では、人工呼吸器を使用している患者さんの訪問診療のサポート内容をお伝えします。
訪問診療を導入するメリットや生活するうえで気を付けたいポイントも具体的に解説しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
人工呼吸器を使用している患者さんへの訪問診療の内容
人工呼吸器を使用している患者さんへ提供する訪問診療の内容は次の3つが挙げられます。
- 健康管理
- 人工呼吸器の管理
- 専門医や訪問看護との連携
それぞれの内容を詳しくみてみましょう。
健康管理
人工呼吸器には、マスクを使用して実施する方法(NPPV:非侵襲的陽圧換気)と気管切開をして実施する方法(TPPV:気管切開下陽圧換気)があります。
それぞれの対象疾患は次の通りです。
- NPPV:主に慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎などの呼吸器疾患、神経・筋疾患
- TPPV:主に筋委縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーなどの神経・筋疾患、先天性疾患の小児
患者さんが自宅で安心して生活するためには、1人ひとりの病状や人工呼吸器の使用方法に適したサポートが欠かせません。
訪問診療は、定期的な診察をとおして患者さんの普段の様子や経過を把握できます。体調を崩したときに普段の様子と比較できるため、症状が悪化する前に対応できることがあります。
人工呼吸器の管理
診察時には次の項目を確認します。
- 患者さんの呼吸状態
- 人工呼吸器のデータ定期的な呼吸機能
- 定期的な検査結果(呼吸機能検査や血液ガス分析)
ほかにも頻回のアラームやトラブルの有無など、患者さんやご家族からのヒアリングも重要です。訪問看護師からの日々の報告をもとに、医師の判断で呼吸器の設定を変更することもあります。
訪問診療で患者さんの人工呼吸器の管理をしている場合、人工呼吸器に必要な物品は診察時に施設から支給してもらえます。
たとえば、気管切開をしている患者さんの気管カニューレや人工呼吸器に必要な加湿器の水、吸引に必要な吸引チューブ、アルコール綿などです。
専門医や訪問看護との連携
多くの患者さんは、入院や通院時に人工呼吸器を導入します。その後も通院しながら経過をみる患者さんもいますが、実は通院と訪問診療を併用している方も少なくありません。
人工呼吸器を使用している状態での移動は、患者さんの負担も大きいものです。そのため訪問診療を導入するケースがありますが、訪問診療を利用していても、病院の主治医との連携は継続できます。
患者さんの病気の進行や呼吸状態の経過などを情報共有し、適切な治療方針を決定します。
在宅医療では多職種連携が欠かせません。特に訪問看護は、患者さんの生活により近いところでサポートをしてくれます。多職種で患者さんやご家族をサポートしますので、安心してください。
人工呼吸器を使用している患者さんが訪問診療を導入するメリット
訪問診療は人工呼吸器を使用している患者さんにとって次の3つのメリットがあります。
- 人工呼吸器を使用していても自宅で生活できる
- 体調不良時に自宅で診察を受けられる
- トラブル時の対応を相談できる
1.人工呼吸器を使用していても自宅で生活できる
病気や障害などの状態が落ち着いていれば、人工呼吸器を使用していても自宅で生活することが可能です。訪問診療を導入すると、人工呼吸器の使用状況や患者さんの呼吸状態の経過を医師に定期的に確認してもらえ、安心して生活できるでしょう。
2.体調不良時に自宅で診察を受けられる
人工呼吸器を使用している患者さんにとって、風邪や腹痛など急に体調を崩したときの通院は大変なものです。
体調が悪いなか人工呼吸器や必要な物品を運んだりする必要があり、患者さんやご家族の移動の負担は大きいでしょう。訪問診療を導入すると、軽い症状であっても体調を崩したときには医師や看護師に相談でき、必要であれば往診してもらうことができます。
3.トラブル時の対応を相談できる
人工呼吸器のトラブルに対する不安は、患者さんやご家族にとって大きな心配事の一つです。
人工呼吸器のアラームが頻回に鳴ったり、どこかおかしいところがある場合は、訪問診療や訪問看護に連絡しましょう。いつでも相談に対応できる体制が整っています。
人工呼吸器を使用している患者さんが気を付けたいポイント
人工呼吸器を使用している患者さんは、日常生活の動作に制限がかかったり、ベッド上での生活を余儀なくされる状況だったりします。
そこで、患者さんの生活の質を維持するために気を付けたいポイントをご紹介します。
気道の乾燥
人工呼吸器を使用している患者さんは、鼻や喉が乾燥しやすい状態です。
私たちの鼻や喉は、外から入ってきた空気を温めたり(加温)、水分を含んだり(加湿)する作用があります。
人工呼吸器は加湿器を使用し、通常の呼吸と同じように空気を送りこんでいますが、季節や気温の変化により乾燥しやすいことがあります。
鼻や喉などの気道が乾燥すると、気道の粘膜が傷ついたり、痰が固くなり出しにくくなったりします。そのため、加湿器の温度設定や生活環境での温度・湿度の調整が大切です。
皮膚トラブル
人工呼吸器を使用している患者さんは皮膚トラブルを起こしやすい傾向があります。人工呼吸器で患者さんに空気を届けるための気管カニューレやマスクは、場合によっては皮膚トラブルの原因になります。
具体的には、気管カニューレやマスクが肌と接している部分が擦れたり、長期間の使用で圧迫されて赤みがでたりするケースです。
皮膚に発赤や痛みなどの症状がでたときには、医師や看護師に相談しましょう。診察時に皮膚の状態を見て、軟膏の塗布や皮膚を保護するための緩衝材の使用などを検討します。
筋力や体力の低下
人工呼吸器の使用で寝たきりの状態になったり活動量が減少したりすると、筋力や体力が著しく低下します。その結果、患者さんの生活の質を維持することが難しくなってしまうことも少なくありません。
そこで訪問診療が検討するのがリハビリテーションの導入です。
訪問看護師やリハビリスタッフは医師の指示のもと、患者さんに合わせたリハビリテーションを計画し、毎月の経過を医師に報告します。多職種で連携し、患者さんの希望や状態に適したサポートを提供できるように努めています。
まとめ
訪問診療は「健康管理」「人工呼吸器の管理」「トラブル時の対応」など、患者さんとご家族が安心して生活できるように、医療の面からサポートします。
人工呼吸器を使用しながらの在宅生活に不安がある方は、いつでも医療サポートを受けられる訪問診療を導入し、医師や看護師に相談してみましょう。
また「自宅でどのように過ごしていきたいか」という患者さんとご家族の希望を教えてください。訪問診療を含め、多職種が患者さんの想いをサポートします。
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