高齢者は基礎代謝の低下、全身の臓器の機能低下がおこり、若い方に比べて冷えを訴える方が多くいます。そのため、家族間で感じる温度の違いが生じます。訪問診療の際に、エアコンの温度設定に関して非常に困っているという話を聞くことも多いです。

お孫さんが良く気にかけ、おばあさんの介護をしている家族がいたのですが、おばあさんが寒がって夏でも暖房をつけるため、さすがに長く一緒にいられないと相談されたことがあります。一緒に暮らす上で、お互いに快適に生活するためにも解決したい問題ですね。

目次
・高齢者はなぜ冷える人が多い?
・冷えを感じたときにどんなことに気を付けるべきか?
・それでも冷えが強い時の解決法は?訪問診療での検査・治療
・訪問診療は西洋薬だけじゃない!

高齢者はなぜ冷える人が多い?

高齢者は若い方に比べて筋肉量がへり、代謝がさがってしまうことが多く、冷えを感じる方が多いです。また、低栄養、貧血やむくみなどを合併すると、より冷えが強くなります。動脈硬化が強い方では、末梢の血流障害※により足先の血色が悪化し、驚くほど冷たいこともあります。

※血行が悪くなると、栄養分が体の隅々まで行き渡らず、老廃物が蓄積されるという悪循環が起こり、肩こりをはじめ、むくみ、吐き気、生理不順、自律神経の乱れ

冷えを感じたときにどんなことに気を付けるべきか?

 冷えを感じたときに、一般的には筋肉量を維持し、循環をよくするために適度な運動を行うことが有効です。しかし、高齢者ではなかなか運動を行うことができないことも多いです。

こんな時、食べ物で体を温めるのも良いでしょう。生姜、ねぎ、ニンニクは血行を促進する物質を含んでいます。人参、カボチャ、かぶなどの根菜類はビタミン、ミネラルを多く含み体を温める作用があります。一方、トマト、キュウリなどの生野菜、コーヒーやアルコールは体を冷やすため注意が必要です。

また、むくみがある方では減塩や下肢※を高めに保つことも有効です。

※下肢とは、股関節・ひざ関節・足関節までの3大関節及び足指の部分をいいます。

それでも冷えが強い時の解決法は?訪問診療での検査・治療

冷えが強い時に、病気が隠れている可能性があり注意が必要です。採血などの検査で診断できるため、訪問診療での診断も可能です。

冷えの原因を検査する

高齢者では貧血をよく認めます。鉄分や亜鉛、ビタミン不足などの原因が考えられ、採血で診断可能です。また、胃や大腸からの出血があることもあり、この場合便潜血検査※でチェックします。

※排出された便の中に血液の反応があるかどうかを調べ、出血がないかどうかを確かめる検査です。

甲状腺機能低下症※1の合併もよく見られます。こちらも採血で診断可能です。心不全、膠原病※2閉塞性動脈硬化症※3などが認められることもあり、診察の際にこれらの疾患の鑑別をすることができます。

※1無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘などがあります。

※2膠原病(こうげんびょう)とは、全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症が見られる病気の総称で、原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が共通してみられます。 女性に多く見られる病気で、比較的若い女性の不明熱(原因不明の発熱)として発見されることが多いです。

※3手や足の動脈が狭窄・閉塞して栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなると、手先や足先が冷たくなったり、筋肉の痛みが出たりします。

冷えを治療する

原因が判明すれば、治療をします。内容にもよりますが、内服で症状が改善する場合には訪問診療で治療を完結できます。

しかし、なかには原因がはっきりしないにも関わらず冷えが強い方もいます。この場合、漢方薬を使用し、冷えを改善することが可能です。

訪問診療は西洋薬だけじゃない!

訪問診療では、西洋薬だけではなく、必要があれば漢方薬を処方します。特に冷えの原因が認められない場合は、漢方薬が効果的です。

冷えのタイプにより、処方する漢方は異なります

一言で冷えといっても、手足末端の冷え、おなかの冷えなど部位も様々です。また四肢末端の冷えの場合にもむくみを伴う人、伴わない人がいます。それぞれのタイプごとに適応する漢方薬があり、同じ冷えでも処方するものは違ってきます。

手先足先が冷える
冷えがあるとき、症状を伝えてタイプに合わせた漢方治療をしてもらいましょう。西洋薬と漢方薬を併用することもあります。

 

まとめ
高齢者は冷えが強く、一緒に暮らしていても温度差に困ることがあります。原因を検査し、その原因に対する治療が必要です。また、原因が見つからない場合、体質に合わせた漢方薬の治療が効果を発揮することもあり、お勧めです。在宅で高齢者を介護する場合、お互いにストレスなく過ごすために、冷えをしっかり解決し、この冬を快適に過ごしましょう。

 

参考URL

一般社団法人 日本女性医学学会より参照

昭和医会誌 特 集 漢 方 医 学より参照

 

今回は「在宅診療で冷えの治療も可能です!冬を快適に過ごしましょう」について、ご説明させていただきました。お近くの在宅医療対応の医療機関はコチラから検索可能です。
https://zaitakuiryou.site/

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