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訪問診療の先生に末期腎不全と言われた。このままだと半年で死んでしまうらしい…どうする?(仮)
軽い慢性腎臓病は在宅医療で十分対応することができます。(他記事リンク)しかし腎臓病は年をとると進んでしまうことが多く、在宅医療をはじめた時には大丈夫でもずっとそのままでいられるとは限りません。
腎臓機能が健康な人の10%程度になると、腎臓の代わりをする治療、透析が必要になるからです。
今回のコラムでは、在宅の患者さんが血液透析をはじめる時の実際について解説します。
腎臓が悪くなると、どうして透析が必要になるの?
腎臓からは身体の要らない老廃物や水分が捨てられ、尿になります。腎臓の機能が弱くなるとこれらの排泄が滞ります。すると、毒素が溜まって食事が食べられなくなり、意識がぼんやりしてきます。水分も体に溜まりがちとなり、むくみがひどくなったり呼吸が苦しくなったりします。そのような状態を治療する方法のひとつが血液透析です。
血液透析では、血管に2本の針を刺します。一方の針から血液を取り、装置を通して毒素と不要な水分を取り除きます。装置を通過した血液はもう一方の針から血管の中に戻ります。血液透析は一回3~5時間程度、週に3回行う必要があります。
在宅の方はどんな手順で血液透析をはじめるの?
血液透析は専門の透析クリニックで行われますが、在宅患者さんが透析クリニックに行けばそのまますぐに治療をはじめられる訳ではありません。
在宅医療を受けている方が血液透析をはじめる際の手順を、症例からご紹介します。
治郎さん(85)歳は数年前に診療所から訪問診療クリニックに紹介されました。当時は多少腎臓が悪い程度でしたが、だんだん腎臓の値(クレアチニン)が上昇してきました。在宅の先生に「このままだと腎不全で亡くなってしまう」と言われ、突然のことに治郎さんも家族も驚きを隠せません。命をつなぐには透析が必要と言われ、詳しい話を聞くために総合病院へ紹介されました。
療法選択外来へ紹介
総合病院の腎臓内科では、「療法選択外来」という所へ案内されました。
外来では、血液透析の他に腹膜透析(他記事リンク)もあること、透析をしない場合は段々と食事が摂れなくなり、眠るようにして亡くなること(他記事リンク)などの説明を受けました。治郎さんは色々考えた末、血液透析をすることに決めました。
透析のための血管手術
血液透析をすると決まったら、透析のための血管手術(内シャント術)を予約しました。手術は1~2時間程度で終わり、日帰りでした。
透析導入(血液透析をはじめること)のための入院
次の診察は手術をして3週間後でした。治郎さんが最近食欲がないことを話すと、「もう透析をはじめましょう。血管が育った後で良かった。もう少しここに来るのが遅ければ、間に合わないところでしたね。」と言われました。数日後に入院し透析が始まりました。透析を受けるようになると、段々と元気になり食事も食べられるようになりました。
自宅に退院、透析クリニックに通う
2週間ほど入院しすっかり元気になった治郎さん。退院後は腎臓内科で紹介してもらった透析クリニックに週3回通うことになりました。治郎さんは奥さんに支えて貰いながら自宅前でクリニックの送迎バスに乗ります。長く歩けなくても、安心して通院できます。最初は透析という言葉に抵抗があった治郎さん。「透析は苦しいと思っていたけどそんなことないね。テレビをみてウトウトしてたら終わってしまうよ。透析してなきゃ、今年の正月は迎えられなかったんだね。良かった良かった。」再び自宅で元気に暮らせることを、大変喜ばれていました。
まとめ
通院困難で在宅医療を受けている方でも、このように血液透析をはじめられます。その際、他の療法との比較検討や透析をはじめた後の調整をしっかり行い、計画的に治療を進めることが重要です。
いかがでしたでしょうか?
今回は「腎臓がわるいと全員透析しないといけないの?在宅患者さんのための血液透析のはなし」について、ご説明させていただきました。お近くの在宅医療対応の医療機関はコチラから検索可能です。
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