神経難病患者さんへの在宅ケアにおいて欠かせないご家族によるサポート。
「家族ができるケアってどんなもの?」
「どうしてあげたらいいのかわからない」
神経難病の患者さんの在宅ケアでは、医療処置や介護に不安を感じるご家族もいるでしょう。ALSやパーキンソン病など、進行性の神経難病では、症状の変化に応じて必要なケアも変わってきます。
神経難病患者さんにとってご家族の存在は安心感を与える大切なものであり、ご家族が心身ともに健康でいることも重要です。
この記事では、神経難病患者さんの在宅ケアにおける「ご家族による患者さんへのサポート」と「在宅医療スタッフからご家族へのサポート」を解説します。
多職種連携によるサポートにも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
神経難病の在宅ケア|ご家族ができるサポート
神経難病患者さんには、病気の進行により医療的ケアが必要な方がいます。
医療的ケアを行いながら自宅で生活するためには、ご家族のサポートが必要です。
日常生活でのサポート
日常生活における必要なサポートは、神経難病患者さん一人ひとり異なります。
ご家族によるサポートが必要なことは次のとおりです。
日常生活のサポート | 医療的なサポート |
移動や移乗の介助食事のサポートトイレ介助やおむつ交換薬の管理や内服の介助 | 体調不良時の対応経管栄養の管理人工呼吸器の管理褥瘡のケア |
このように、ご家族によるサポートはさまざまなものがあります。
患者さんの希望に合わせて、できるだけ負担なく続けられる方法でサポートすることが大切です。
患者さんの精神面へのサポート
神経難病は症状や病気の進行が患者さんごとに異なり、なかには「自分で自分のことができない」「自分の思うように生活できない」など悲しみを抱える方もいるでしょう。
悲しみを抱える患者さんに対して「何もしてあげられない」と無力感を抱くご家族もいるかもしれません。
しかし、患者さんの想いを受け止めともに歩んでいくご家族の姿勢は、患者さんの生きる希望にもなります。
悲しみや不安のなかでそばに寄り添ってくれる家族の存在は、患者さんにとってかけがえのないものです。
神経難病の在宅ケア|家族サポート体制
神経難病患者さんがご家族とともに穏やかな生活を送るためには、ご家族が患者さんのサポートを無理なく続けられることが大切です。
そこで、在宅医療スタッフは、ご家族に次のようなサポートを行います。
- ケアの指導と相談対応
- ご家族の精神的ケア
- 意思決定支援
- ご家族の介護負担の軽減
それぞれのサポート内容を詳しくみていきましょう。
ケアの指導と相談対応
神経難病患者さんへの在宅ケアにおいて「ケアの方法がわからない」と不安を抱えるご家族もいるでしょう。
在宅医療サービスでは、ご家族に患者さんへの適切なケアの方法をお伝えし、ケアに対する不安の軽減に努めます。
具体的な相談事例として以下のようなケースが挙げられます。
- 人工呼吸器のアラームが鳴り、いつもの対処方法では改善しないとき
- 転倒・転落してしまったとき ・急な発熱や痰の増加がみられたとき
- 食事中にむせこみが増えたとき
- 床ずれの新しい発赤を見つけたとき
- 服薬管理に不安があるとき
このような場面で対応に迷った際、ご家族が医療者に24時間相談できる体制を整えている医療機関も多くあります。些細なことでも、まずは相談してください。
訪問看護師が定期的に訪問する際には、実際の手技を確認したり、新しいケア方法を学んだりすることもできます。医療者はご家族に寄り添いながら、安心して在宅ケアを続けられるようサポートします。
ご家族の精神的ケア
神経難病患者さんの想いや悲しみを受け止めたり、ときには人生の最期の時間を一緒に過ごしたり……。
患者さんをサポートするご家族の気持ちも揺れることもあるのが当然です。
在宅医療スタッフは患者さんだけでなく、ご家族の想いも傾聴し、寄り添うことを大切にしています。
とくに、終末期の患者さんについては、患者さんに今後起こりうる変化やできるケアなどを丁寧にお伝えし、穏やかな時間を過ごせるようにサポートします。
意思決定支援
病気の影響で意思決定が難しい患者さんのこれからの過ごし方を考えるとき、患者さんの代わりにご家族が意思決定の中心になることがあります。
たとえご家族であっても、人の今後を決定することは精神的にストレスがかかるでしょう。
在宅医療では、ご家族に患者さんの意思決定のすべてを任せるのではなく、患者さんを想いながら医療者も一緒に考える姿勢を大切にしています。
ご家族の介護負担の軽減
神経難病患者さんが自宅で過ごすには、ご家族のサポートが欠かせません。
一方で、患者さんのサポートには、ご家族の負担が大きいのも事実です。
在宅医療ではご家族の介護負担を減らすために、介護方法の検討や利用できる医療・福祉サービス、レスパイト入院を提案することがあります。
ご家族の負担を減らすことは重要ですが、一方的に提案するのではなく、患者さんやご家族の希望を聞きつつ相談しながら進めることを大切にしています。
神経難病の在宅ケアを支える多職種連携
神経難病患者さんが自宅で安心して生活するために欠かせないものが、在宅医療サービスにおける多職種連携です。
在宅医療に関わる職種には、訪問診療・訪問看護・訪問介護・訪問薬剤・ケアマネジャー・福祉用具の業者・お住まいの自治体などがあります。
それぞれ専門的な視点から患者さんとご家族のより良い生活を考え、必要なサポートを提供します。
多職種で連携してサポートしますので、不安なことがあれば遠慮なくご相談ください。
まとめ
神経難病患者さんの在宅ケアは、ご家族のサポートが重要です。
ご家族によるサポートは、患者さんの日常生活だけでなく、精神的な支えにもなるでしょう。
一方、在宅医療スタッフによるご家族へのサポートも欠かすことができません。
患者さんを支えるご家族を心身ともにサポートするために、在宅医療スタッフは多職種で連携し必要な支援を提供します。
神経難病患者さんとご家族がともに穏やかな生活を過ごすことができるように努めています。不安や心配なことは、どんな些細なことでもかまいません。在宅医療スタッフにご相談ください。
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