『褥瘡』は「じょくそう」と読みます。聞きなれない言葉ですよね。いわゆる床ずれのことです。床で腕枕して眠ってしまい、目覚めた時「肘がヒリヒリするな」と感じた経験はありませんか?

しかし自ら社会生活を送っている方は床ずれで治療が必要になることはありません。多くは横になっている時間が長い高齢者に起こります。

在宅診療を利用している患者さんは寝たきりの方が多く、褥瘡とともに生きている方も珍しくありません。

今回のコラムでは在宅医療での褥瘡治療について解説します。

目次
・なぜ褥瘡ができてしまうのか
・在宅医療で褥瘡を予防するには
・それでも褥瘡ができてしまったら…在宅での褥瘡治療

なぜ褥瘡ができてしまうのか

高齢者は数時間同じ姿勢でいるだけで褥瘡が生じます。なぜ褥瘡ができてしまうのでしょうか。それは、カラダの厚みと栄養状態です。

この答えは別々なもののようで互いに関係しています。ヒトの身体はざっくりと皮膚→脂肪→筋肉→骨の順に重なっていますが、所々に「皮の下にすぐ骨」という箇所があります。肩の後ろや肘、お尻の割れ目のしっぽの骨、くるぶしやかかとなどです。栄養状態が良ければ、皮膚は瑞々しく、脂肪が多少あり、滑液包(皮膚と骨の間にある緩衝材)が厚いのです。しかし栄養状態が悪いと、これらは失われます。すると体重のかかった骨が皮膚に圧力をかけます。はじめは赤くヒリヒリする程度ですが、薄くてボロボロの組織ではすぐに破れてしまうのです。

在宅医療で褥瘡を予防するには

栄養状態が悪いと褥瘡になりやすく、なった場合も治りにくいです。在宅医療を受けている方の中には栄養が悪い状態で病院から自宅へ戻る方もいるでしょう。その場合、褥瘡ができやすい部位に体重がかからないように物理的に注意する必要があります。

在宅でできる、除圧(圧を取り除くこと)、体圧分散(体重による圧を体の一部ではなく全体に分散させること)の方法をご紹介します。

1:体位交換
病院や介護施設では連続して体重がかかることを防ぐために2時間毎にクッションを用い姿勢変換を行います(除圧)。
体位交換ができるのは理想ですが、はたして自宅でできるでしょうか。昨今では老々介護の家庭も多く、病院や施設と同じように行うのは難しい場合があります。

2:背抜きや圧抜き専用のマルチグローブの使用
皮膚が弱くて破れる恐れのある方には強い力をかけての体位交換は勧められませんし、体の大きい方ではご家族が腰を痛めてしまうこともあります。そのような場合は、ポジショニンググローブやハーティーグローブといった背抜きや圧抜き専用のマルチグローブを使うとよいでしょう。褥瘡のできやすい部位とベッドの間に腕を入れ、サーっとひと撫でするだけで除圧効果があります。外側は滑りやすく挿入しやすい素材でできているため、力のない方でも簡単に使える便利な道具です。

3:除圧用クッションや緩衝材
日中、同居の方が不在のご家庭では除圧用のクッションやマットを敷く、柔らかい医療資材を貼ることが最も現実的かもしれません。高齢者はささいなきっかけで急激に栄養状態が悪化することがあります。褥瘡予防にクッションを揃えておけば「備えあれば憂いなし」ですね。

それでも褥瘡ができてしまったら…在宅での褥瘡治療

褥瘡は深達度などによって分類されます。赤いだけのもの(d1)、皮膚がすりむけたようなもの、水ぶくれ(~d2)、脂肪や筋肉や骨が見えるもの(D3~D4)、関節に繋がっていたりものすごく深いもの(D5)、表面が壊死組織に覆われて判定できないもの(DTI、DU)です。

在宅診療で管理できるのは骨が見える一歩手前までと考えます。比較的軽傷の場合は丁寧に洗浄し軟膏を塗布し、しっかりと被覆することで治療します。壊死組織が多く深い場合は傷んだ組織を切り取り、洗浄と軟膏塗布を継続、適切に被覆します。

在宅で治療している最中に深さが増して骨が見えてしまう、重い感染を伴うなどの悪化がある場合は入院での治療を検討することがあります。

 

まとめ
在宅医療で褥瘡を治療するには家族の協力が不可欠
面積や深さに依存しますが短期間では終わらず数週間から数か月かかります。また慣れない方にとっては傷の外観に目をそむけたくなることもあるでしょう。ときには悪臭がしたりと気が滅入ってしまうかもしれません。そういった意味で、褥瘡治療にはご家族や介護者にも心構えが必要です。

褥瘡は放置することで感染症のリスクが高まり、間接的に命の危険に及びます。訪問医、訪問看護師もこまめに訪問し治療を行います。それでもご家族の協力が不可欠です。

褥瘡に対する理解を深め、患者さんに関わる全員で力を合わせて褥瘡と闘いましょう。

参考文献

臥床患者の背上げ後の背抜きに対する看護師の身体的負担の検証
—素手による方法とグローブを用いた方法の筋活動および身体への負担感の比較—

褥瘡について | 日本褥瘡学会

改訂DESIGN-RⓇ2020コンセンサス・ドキュメント

 

今回は「在宅医療で家族の褥瘡と向き合うコツ」について、ご説明させていただきました。お近くの在宅医療対応の医療機関はコチラから検索可能です。
https://zaitakuiryou.site/

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