「今まで眼科に通院できていたけれど、寝たきりになり眼科の通院が難しくなった。これからの目の検査や治療はできなくなるの？」

通院が難しくなった患者さんからこのような問い合わせがよくあります。最近では在宅診療を行っている眼科施設が増えてきました。在宅診療で行える検査や治療は限られますが、基本的には在宅診療を行い、手術が必要なときだけ眼科通院を行うといった運用も可能です。

この記事では現役眼科医が、眼科の在宅診療でよく診察する病気を5つ解説します。これらの病気がある方で、通院が難しい方は在宅診療に切り替えることができるかもしれません。ぜひ参考にしてください。

①眼球のレンズが濁ってしまう白内障

白内障は加齢とともに増えています。しかし、その進行はゆっくりであり、そのためだけに通院することは負担になるでしょう。白内障が進行しているかどうかは、持ち運び可能な顕微鏡を用いて確認することができます。

見えづらさ、まぶしさなどの自覚症状が強くなったり、視力検査で視力が下がっていたりすれば手術を検討します。しかし、そうでなければ経過観察だけなので、在宅診療でも経過観察をすることが可能です。

②眼圧があがってしまう緑内障

緑内障は成人の失明原因の1位であり、目薬での治療を行う必要があります。緑内障の治療において、眼圧(目の硬さ)の検査を行うことが必要です。そして、この眼圧に応じて、目薬や手術などの治療を選択します。

眼圧は持ち運び可能な検査機器があるため、自宅でも検査をすることができます。そのため、緑内障の状態が落ち着いていれば自宅での経過観察が可能です。

しかし、持ち運び可能な視野検査は高価であり、まだ十分に普及していません。よって、緑内障が進行しているかどうかの詳しい検査は、クリニックを受診し、視野検査などを行う必要があります。

③病的な目の渇き、ドライアイ

ドライアイの症状がある患者さんは多く、その治療として目薬を使用している方もいるでしょう。このドライアイは白内障と同様、持ち運び可能な顕微鏡で診察ができます。

ドライアイの診断基準はゴロゴロする、目が渇いた感じがするなどの自覚症状に加えて、目の表面を染めて、顕微鏡で観察すれば診断できます。よって、今までドライアイと診断されている方はもちろん、新たにドライアイの症状が出た方も訪問診療で診断ができます。

④痛い、気になる、逆まつげ(睫毛内反症)

まつ毛は通常、外側に向かって生えますが、まぶたの構造によってはまつ毛が内側を向くことがあります。また、髪の毛のくせ毛と同じで、まつ毛の方向だけが内側に向いてしまうことがあります。

このようなまつ毛は目の表面に触るとゴロゴロと当たる感じがあり、中には目の表面を傷付けることがあるため、まつ毛を抜いて対応します。これらはすべて持ち運び可能な顕微鏡で行うことができます。

⑤目の痛み、充血、結膜炎

結膜炎は目が充血し、目が赤くなる病気で、ばい菌とアレルギーによるものがあります。最も多い目の病気の1つで、皆さんもよくご存知でしょう。結膜炎も持ち運び可能な顕微鏡で診察できます。

今回は「どんな病気が対象？眼科訪問診療で診れる眼科疾患5選」について、ご説明させていただきました。
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